著者
滝澤 恭平 中村 晋一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.D1-0108, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
38

都市の水辺を再生するためには,地域の主体の継続的な協働の取り組みが必要とされる.東京都杉並区善福寺公園内「みんなの夢水路」事業における水辺再生実現までのプロセスと協働の実態を明らかにすることを研究目的とする.水路実現までのプロセスとして,1)川体験,川しらべを通した長期的な地域主体醸成,2)橋渡しの場の形成を契機とした多主体によるビジョン創出,3)事業化を契機とした計画検討,4)水辺を共同管理する権利の承認を通した運営主体確立の4つ段階の過程を明らかにした.協働の分析枠組みとして「橋渡し」概念による分析を行い,市民側と学校側に橋渡しの場が存在したことで,市民活動としての水辺再生の動きと,小学校の継続的な川学習が連携・協働し,地域の集合的な行為としての水辺再生が実現したことを明らかにした.