著者
菊井 祥二 澤 信宏 西脇 知永
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.119-122, 2011-01-25 (Released:2011-01-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

症例は80歳,男性.糖尿病のコントロールが突然不良になったことが契機になり,膵体部腫瘍が発見され,切除可能と判断され,手術を予定された.術前に構音障害と右不全片麻痺をきたし,頭部MRIで左橋梗塞と診断し,悪性腫瘍に合併したTrousseau症候群の可能性を念頭に置き,第1選択薬であるヘパリンを持続投与することで症状が改善し,脳梗塞が再発することなく,手術を施行することができた.担癌患者では積極的にTrousseau症候群を考えて,ヘパリンによる抗凝固療法を行い,手術日まで管理することが重要であると考えられた.