著者
澤村 誠志
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.41-47, 2014-01-01 (Released:2015-01-15)
参考文献数
10

日本リハビリテーション医学会(以下,日本リハ医学会)が設立された50年前を振り返ると,我が国の義肢装具サービスの現状は海外先進国に比較して大きく遅れていた.この現状を打開するために,日本リハ医学会と日本整形外科学会の両義肢装具委員会が協働して,医師・義肢装具士の教育・資格制度,義肢装具部品の規格標準化,JIS用語,義肢装具の価格改正などに取り組み,国際的にも優れた義肢装具サービスを整備できた.これは多くの先人のご努力の賜物であり,その経緯を報告する.国際的にも,日本義肢装具学会をはじめとして多くの学術団体の総力を挙げた活動により,第6回ISPO世界大会(神戸)の開催,アジア義肢装具学会の始動,アジアにおける義肢装具士養成施設の設置などを行い,国際的にも大きな評価を受けている.これまでの国際的な活動経緯について報告する.
著者
澤村 誠 宗林 孝明
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

貝毒(下痢性)を惹き起こすオカダ酸を、抗原抗体反応を利用し、非標識で動作するバイオセンサで検出した。また、予備実験として同センサによりがんマーカーのCEA(癌胎児性抗原)を検出した。・バイオセンサの作製:平成17年度に作成したトランジスタ型センサから操作が容易でより安定して動作するダイオード型センサを作製した(特許出願済)。・検出法:センサのシリコン基板表面の酸化膜上に微細な電極を作製し反応場とし、抗体を固定化(物理吸着)し、ターゲットの抗原を滴下する。抗原抗体反応進行に伴い、ダイオードの電流・電圧特性を比較すると、反応の進行レベルに加え、動的特性がターゲットの濃度に依存して規則的に変化する。標準サンプルから検量線を作成すればターゲットを定量することができる。・効果:本研究は貝毒の抗原抗体反応の検出を非標識で行った最初の研究と思われる(従来、検出にはマウステストが行われているが、近年ELISA法による実験の成功例がある)。オカダ酸のような微小な分子が非標識で検出されたことは重要な発見である。尚、使用したバイオセンサは構造が簡素で、低電圧で安定動作し、操作が容易である。他の抗原抗体反応(CEA検出)にも応用できるが、可能性として酵素反応やDNAハイブリダイゼーションにも用いることができ、応用範囲が広い。・新発見:反応場上の抗原と抗体が形成する薄膜の動的電気伝導特性が変化することから、反応に伴い抗体の分子構造(水を含む)の大きな変化(conformal transition)を伴う電子状態の変化があることが予想される。このため、今後、細胞やウイルスなどの大型ターゲットの電子状態計測や細胞シリコン融合素子への応用が期待される。課題:(1)検出感度を他の検出法と比較すること(サンドイッチ法(ELISA)で検出できず)。(2)抗原抗体反応に要する時間の短縮。(3)夾雑物のある環境における検出実験。