著者
澤田 彩音 佐野 百香 野々村 美宗
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.309-314, 2020-10-20 (Released:2020-10-27)
参考文献数
12

筆はさまざまなメイクアッププロセスで使用される。しかし,メイクがなされる際の動きや力の入れ具合について定量的な解析はほとんどされておらず,メイクのしやすさや仕上がりの上手下手を支配する因子についてはほとんどわかっていない。われわれは,サンプル台に置かれたネイルチップに筆で線を描くプロセスを高速カメラで観察しながら,チップに加わる垂直力と摩擦力をセンシングするシステムを開発した。さらに,このシステムを用いて20名の被験者がチップ上に市販のネイルエナメルを用いて1本の線を描いたときの運動と仕上がりの関係を解析した。その結果,塗布開始直後に垂直力を徐々に強めながら,目的に合った線を引くための力の入れ具合や筆の角度の調整が行われると,幅が均一で真っ直ぐな線を引くことが可能になることが示唆された。本研究の成果は,メイクの仕上がりの支配因子を明らかにするうえで有用である。