著者
澤田 秀樹 山下 倫範
出版者
一般社団法人 国際ICT利用研究機構
雑誌
国際ICT利用研究学会論文誌 (ISSN:24330205)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.123-128, 2017 (Released:2020-02-01)
参考文献数
8

短歌や短詩を暗号の視点で読み解こうとするとき,多くは折り句等の転置式暗号の視点でなされる。本稿では,短歌や短詩を数理科学的な暗号の視座で眺め,その基底としてシャノンの定義した判別距離を用いた。ここでは,まず齊藤史の作品とその英訳を考察材料としてとりあげた。その中で,短詩の解釈過程から,創作「鍵」は「感性」などであり,解釈(解読)「鍵」は「作者の「作者の背景や季語」等であることを述べ,齊藤史の場合,英文としての判別距離は約90 文字であると類推する。他にリルケの詩や松尾芭蕉の俳句でも同様の考察を試み,理解できるほどよい判別距離と暗号との関係から短歌・短詩・俳句の解釈(解読)可能性を論じる。