著者
八板 昭仁 濱 賢次郎
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.33-42, 1999-02

筆者らはこれまで女子大学生及び女子高校生(以下それぞれを大学生、高校生と省略する)を対象にバスケットボールのゲームにおける各局面において、ボール獲得状況が、そのボール保持の攻撃結果に影響を及ぼすことについて調査を重ねて報告してきた。大学生、高校生ともにボールの獲得と攻撃終了形態の間には有意な差が認められた。しかし各ボールの獲得と攻撃終了形態の関連において、局面転換における時間的な経過が攻撃終了形態に与える影響は、とりわけショット成功について異なった傾向がみられた。そこで本研究は、これまでの報告の結果から攻撃開始エリアと攻撃終了形態の関連について、高校生における攻撃開始エリアが攻撃結果に及ぼす影響は、大学生と異なった傾向がみられるという仮説を立てその検証を行った。データは攻撃開始エリアと攻撃終了形態をクロス集計し、全体的な頻度によって独立性の検定を行い、各チームのデータは攻撃終了の3形態のそれぞれについて重回帰分析法による統計処理を行った。各攻撃終了形態についての重相関係数はF値を算出し、各変数間の偏相関係数についてはt値を算出し有意性の検定を行った。また、各攻撃終了形態におけるボール獲得状況の度数分布については、x^2値を算出し独立性の検定を行った。高校生における全体的な度数分布の分散傾向から攻撃開始エリアと攻撃終了形態の関連は低く、大学生とは異なった傾向が認められた。攻撃開始エリアがバックコートエリアの場合において攻撃終了形態(特にターンオーバー)に影響がみられ、ショット成功とショット失敗の割合にも差が認められた。高校生においては攻撃開始エリアが攻撃するゴールに近くなればショット成功率が高くなり、遠くなれば防御側が隊形を整えるための時間的余裕ができ防御することが可能になるため、ショット失敗の割合が高くなり、ターンオーバーにも影響を及ぼす傾向がみられた。