著者
濱口 佳之
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

〇 研究の目的京都大学生存圏研究所のMUレーダーを利用し、外部観測装置を多地点設置することで、流星の速度ベクトルを求め、併せて電離圏の風速ベクトルを求めることを目指す。また、この研究の最終目標として、流星の速度ベクトルについては、太陽系外から来る高速流星の検出、昼間流星群の検出、小流星群の検出を目指す。電離圏の風速ベクトルについては、風速ベクトルの空間分布ら超高層大気風の立体構造の解明を目指す。〇 本科研費申請の目的多地点(2点)観測にみる流星速度ベクトルの測定についでは自作プロトタイプ観測装置(旧システムと呼ぶ)により既に実績がある。本科研費申請の目的は旧システムに新たな機能を追加し、信号処理手法を導入することにより、流星観測数の大幅アップを図り、新たに電離圏の風速ベクトルを求めることにあり、上記最終目標の確実な達成を実現することである。〇 研究成果上記、本科研費申請の目的で示した新たな機能を追加した外部観測装置(2台)の開発に成功した。ここでこの装置を「新システム」と呼ぶ。2008年8月この新システムと旧システムを並べ、流星観測を実施したところ、旧システムより薪システムの方が4倍め流星数を獲得できた。また、2008年11月、新システムをMUレーグー施設内に持ち込み、MUレーダーとレンジ、流星の検出時刻、風速データを比較したところ全てにおいて良好な一致が見られた。これらの基礎実験により、装置の確実性が確認されたので、2008年12月ふたご座流星群において、新ジステム2台をMUレーダー周辺(10km程度)の外部点に設置し、流星観測を行った。この結果、ふたご座流星群の輻射点が求まり、装置の正常性と有効性が実証された。また、風速についても各ポイントで求まっているが、外部観測点がMUレーダーに近かったことにより風速ベクトルの正確な算出には至らなかった。しかし、個々の風速測定は正しいものであり、外部観測点をMUレーダーから離すことや観測ポイントを増やすことにより、風速ベクトルの測定は実現性が高いものとなった。これらは今後の展開を目指す。