著者
濱口 眞輔 小松崎 誠 北島 敏光 恵川 宏敏
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.366-371, 2017 (Released:2018-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
1 6

当院を受診した腰椎疾患のうち,変形性腰椎症,腰部脊柱管狭窄症,腰椎手術後症候群による下肢の痛み,冷え,痺れを呈する患者を診療記録から抽出し,漢方薬による治療効果について調査した。評価項目は下肢の痛み,冷え,痺れの有無,先行した疼痛治療法,選択した方剤とその効果とした。その結果,これらの疾患による下肢痛,冷感,痺れに対して,証に随って先行鎮痛治療に追加した漢方薬としては桂枝加朮附湯,真武湯,苓姜朮甘湯,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,牛車腎気丸,芍薬甘草湯の処方例が多く,痛みは60例中32例(53%),痛みと冷えの合併には34例中17例(50%)と概ね半数の症例に効果がみられたが,痛みと痺れの改善は19例中4例(21%)のみであった。桂枝加朮附湯,苓姜朮甘湯,牛車腎気丸,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,真武湯の先行鎮痛治療への追加処方は腰痛疾患による下肢症状緩和に有用であると結論した。

1 0 0 0 OA 痛みの評価法

著者
濱口 眞輔
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.560-569, 2011 (Released:2011-08-15)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

痛みの評価は診断と治療効果の判定に不可欠であり,科学的信頼性と妥当性を有する方法が理想的である.また,患者が痛みを複数の医師に同様に伝えられ,医師も主観によらずに患者の状態を把握できる方法でなくてはならない.評価法としては言語や数字,視覚スケールによるものが簡便であり.疼痛外来などで頻用されている.そのほかには痛覚伝導系刺激やサーモグラフィなどの機器を用いた評価法,画像診断による評価法がある.痛みは患者の持つ内的経験であるため主観的評価となりやすく,外部からの客観的評価は非常に困難である.したがって,主観的評価法と客観的評価法を正しく理解して施行し,機器による評価では機器の特性を十分に理解して施行する必要がある.