著者
濱村 真理子 岸上 直樹 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.525-533, 2014-10-01 (Released:2017-06-02)

様々な楽曲を用いた最適聴取レベルの測定実験を調整法によって行い,男女の間で音楽の最適聴取レベルに差が生じ,男性の聴取レベルの方が高いことを明らかにした。男女の最適聴取レベルに差が生じる要因を検討するために,音楽再生音とノイズの大きさ評価実験を行った。いずれの刺激の場合も男性の方が女性よりも同一呈示音圧レベルの音をより「小さい」と評価していた。女性の最適聴取レベルは男性にとっては「小さい」と感じられている可能性がある。そのため,男性が「丁度よい」と感じるには女性の最適聴取レベルよりも聴取レベルを高く設定する必要が生じ,その結果として男女の音楽再生音の最適聴取レベルに差が生じたと考えられる。
著者
濱村 真理子 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.218-224, 2015-05-01

音の大きさの評価における男女差の周波数依存性を検討するために,様々な中心周波数を持つ狭帯域ノイズを用いた音の大きさの評価実験を行った。中心周波数にかかわらず狭帯域ノイズの大きさの評価には男女差が認められ,女性は男性よりも同一音圧レベルの狭帯域ノイズをより「大きい」と評価していた。特定の周波数帯域を増幅させた音楽再生音の最適聴取レベルを測定した結果,最適聴取レベルには男女差が認められ,その差は増幅する周波数帯域や増幅の有無にかかわらず同程度であった。これは音の大きさの評価における男女差が周波数帯域に依存しないためであり,音楽再生音の周波数特性は最適聴取レベルにおける男女差に影響を与えないと言える。
著者
濱村 真理子 青野 まなみ 岩宮 眞一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.65-72, 2015-02-01

BGM,サイン音とアナウンス,自然環境音の丁度よいと感じられる音量(最適聴取レベル)を調整法により測定し,その男女差の有無を検討した。BGM,サイン音,アナウンスの最適聴取レベルに男女差が認められ,女性よりも男性の方が最適聴取レベルを高く設定していた。自然環境音の場合には最適聴取レベルに男女差は認められなかった。同一音圧レベルを女性よりも男性の方がより小さいと感じるため,男性が要求する音の大きさを満たすためには女性よりも聴取レベルを高く設定する必要が生じたと考えられる。しかし,自然環境音の最適聴取レベルは実際に聴いて記憶された音量に合わせて設定されたために,男女差が生じなかったのであろう。