- 著者
-
濱田 由紀
- 出版者
- 公益社団法人 日本看護科学学会
- 雑誌
- 日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, pp.215-224, 2015-12-16 (Released:2015-12-19)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
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5
目的:精神障害をもつ人のリカバリーにおけるピアサポートの意味を明らかにすることである.方法: Denzinの解釈的相互作用論を理論的前提とする質的研究デザインである.精神疾患と診断され,電話相談によるピアサポートを行う人20名に,リカバリーにおけるピアサポートの経験について半構成的面接を行った.結果:リカバリーにおけるピアサポートの意味は,1. 他者との出会いによって固有の人生を生きること,2. 他者の幸せに自分を生かすこと,であった.〈他者との出会いによって固有の人生を生きること〉は,1)精神病による画一性からの解放と,2)固有の人生を模索すること,という様相から,〈他者の幸せに自分を生かすこと〉は,1)痛み・気遣い,2)ありのままを受け入れてもらう経験,3)つながり・連帯,4)他者に対する有責感,5)他者支援に自分を生かすこと,6)意味ある人間関係を本質とする仕事,という様相から捉えられた.考察:Lévinasの他者論から,これらの結果は,「他者」との出会いによる固有性の再獲得と,痛みをもつ他者に対する倫理的な応答としての主体性の確立と解釈された.