著者
渡辺 淳志 濱田 真輝 田鹿 安彦 宮崎 一秀 川畠 弘子
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-25, 2015 (Released:2015-01-23)
参考文献数
13

要旨:症例は31 歳女性.予定帝王切開術後にメチルエルゴメトリン内服開始.分娩後5 日目に雷鳴様頭痛の後,全身痙攣が出現した.MRI,MRA にて多発性脳梗塞と脳血管狭窄を認め,可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による脳底動脈先端症候群を疑いシロスタゾール,エダラボン,ベラパミルにて加療を行った.第40 病日のMRI にて脳血管狭窄は改善し,RCVS と確定診断となった.後遺症として四肢不全麻痺,構音障害,嚥下障害などを認めmodified Rankin Scale 4 の状態にてリハビリテーション目的に転院となった.RCVS は転帰良好例が多いとされるが,脳底動脈高度狭窄症例は後遺症を残すリスクファクターである可能性があり早期の治療を検討するべきと思われる.また,片頭痛既往がある分娩後患者のメチルエルゴメトリン投与に関してはRCVS 発症のリスクを考慮し慎重に検討するべきであると思われる.
著者
岡本 沙織 濱田 真輝 田鹿 安彦 川畠 弘子 岡田 芳和
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.351-355, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

要旨:グリチルリチンと抑肝散併用で偽アルドステロン症を生じ,脳内出血と低カリウム性ミオパチーを合併した症例を経験したので報告する.症例は85 歳の女性.肝機能障害と認知症に対して半年以上前より両剤を併用していた.失禁と食欲低下,認知症悪化のため当院を受診し,四肢脱力と左同名半盲,CT で右後頭葉皮質下出血を認めた.血液検査ではカリウム1.6 mEq/l,レニン活性低下,心電図変化を認め,偽アルドステロン症と診断し,保存的加療を行った.入院後,血圧は高値で推移したが,カリウム値の正常化に伴い1 週間程度で安定した.甘草含有製剤である抑肝散は,偽アルドステロン症発生により薬剤抵抗性の二次性高血圧を来すことがあるため,効果を増強させ得るグリチルリチンなどの他剤との併用時には留意が必要である.また,脳内出血などの合併症を予防するために,定期的な血圧管理,電解質検査,心電図検査などが重要であると考えられた.