著者
大澤 紘一 濱田 紘一 峯 恭一 冨田 邦和 土谷 康夫
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.90, no.7, pp.494-501, 2004-07-01 (Released:2009-05-29)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

低C-Alキルド鋼をベースとして,Cu含有量を0.52mass%,Sn含有量を0.052mass%の範囲内で変化させた鋼種を用い,N,-3%H,雰囲気および1.3×10-2Pa以下の真空中で焼鈍した冷延鋼板におけるディップタイプのリン酸亜鉛化成処理性へのCuおよびSnの影響を調査し,つぎの結論を得た.(1)N2-H2雰囲気で焼鈍した冷延鋼板においては,052mass%まではCu含有量が増加しても化成処理性は若干低下する程度であるが,翫含有量の増加にともなって著しく化成処理性が低下する.(2)真空中で焼鈍した冷延鋼板においては,Cu,Sn共含有量の増加により著しく化成処理性が低下する.(3)焼鈍雰囲気が異なる場合の冷延鋼板の化成処理性へのCu,Snの影響に対して,焼鈍によるCu,Sn,Mn,Cなどの元素の表面濃化の寄与が大きいものと推察される.(4)スクラップの再利用により冷延鋼板を製造するに当たっては,Cu含有量に加えて,化成処理性を著しく低下させるSn含有量の上限管理が重要である.