- 著者
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笠井 美希
瀬尾 幹子
関 圭吾
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.56, 2017 (Released:2017-08-31)
【目 的】家庭における食用油を使用した加熱調理において、酸化しにくく、油臭さが少ないことが望まれている。ごま油は熱に強く、安定性に優れた油といわれており、本研究では、焙煎せずに搾油した精製ごま油(かどや製油㈱)の加熱調理における安定性の評価として、フライ調理に用いた際の安定性、おいしさ等について調べた。【方 法】試料は精製ごま油と家庭で一般的によく使われている食用油3種類(キャノーラ油、サラダ油、大豆油)とした。一定条件下でフライ試験を実施し、フライ油の色、酸価、過酸化物価、カルボニル価、アニシジン価を測定して安定性を比較した。また、フライ調理中の油臭及び揚げ直後と冷めた時のフライの官能評価を実施した。官能評価は7段階尺度の採点法で行った。なお、各試料のCDM試験、アクロレイン濃度の測定も行った。【結 果】精製ごま油は他の食用油3種類と比較して、フライ油の色の着色が若干濃くなる傾向がみられた。揚げ回数による酸価、過酸化物価の値には大差がなかった。油脂の加熱による劣化の指標であるカルボニル価、アニシジン価の値は精製ごま油が最も低値であり、加熱劣化の進行がゆるやかであった。フライ調理中の油臭は精製ごま油が最も弱く、不快感が少なかった。官能評価では、精製ごま油を使用したフライはべたつきが少なく、冷めてもおいしいという評価であった。CDM試験の結果より、精製ごま油は自動酸化に対する安定性も良く、アクロレイン濃度の測定結果からアクロレインの発生量も少ないことがわかった。