著者
植田 有香 瀬川 昭博 吉岡 正人
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.15-21, 2004-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
12

現在まで, マイクロカプセルの製法や利用方法など数多くの研究が行われてきている。今回われわれは, 新たな壁材として, 「シリコーンレジン化ポリペプチド」を用いたマイクロカプセル化技術を開発した。この壁材を使用することにより, 90%もの高い内包率のマイクロカプセルを容易に調製することができた。また, このマイクロカプセルは平均粒径が約2μmと微細であるため, ホモミキサーの剪断力に対しても安定であり, 経時安定性も良好であるなどの知見が得られた。そこでわれわれは紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセルを用いて化粧品への応用を検討した。その結果, これまで配合が困難であった水系の処方に界面活性剤を使用せずに, 油性である紫外線吸収剤を配合することを可能にし, 紫外線吸収剤特有の塗り感触の重たさや臭いなどを抑え, 配合量を向上させることができた。また, 無機紫外線防御剤と安定に併用することができるため, その配合量を抑えながら, 高いSPF値を化粧品製剤に付与することができた。このように, これまで有機系紫外線吸収剤の配合が困難であった処方系への応用を可能にした。