著者
鈴木 一平 熊井 康人 多田 敦子 佐藤 恭子 梅垣 敬三 千葉 剛 竹林 純
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.53-57, 2020-04-25 (Released:2020-04-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1

加工食品にはビタミンDとして食品添加物のエルゴカルシフェロール(D2)およびコレカルシフェロール(D3)が使用されており,加工食品中の含有量把握のため検証された分析法が必要とされる.本研究ではD2とD3を分離定量する方法として,栄養成分分析に用いられる日本食品標準成分表2015年版〈七訂〉分析マニュアルのビタミンD分析法(マニュアル法)の加工食品中のビタミンD分析への適用性について検討を行った.検討の結果,マニュアル法にいくつかの課題が認められたため,マニュアル法に改良を加えて加工食品への適用性を検討した.野菜ジュース,豆乳,コーンフレークを用いた添加回収実験の結果,改良マニュアル法は推定方法定量下限(EMLOQ)相当量での回収率(相対標準偏差)がD2で103~112%(4.7~12.6%),D3で102~109%(2.4~21.8%),EMLOQの10倍量添加ではD2で100~110%(4.0~7.4%),D3では102~105%(3.8~4.8%)であった.この結果から,改良マニュアル法は加工食品中のD2,D3分析に適用可能な真度および精度を有すると推察された.