著者
丹比 邦保 柿原 秀文 高木 実 堀 泰仁 矢野 昭二 安藤 伸生 熊井 清雄
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.70-77, 1976-07-25
被引用文献数
1

本研究は厩肥と尿の施用水準が青刈トウモロコシの化学成分と飼料価値に及ぼす影響を究明する目的で行った。試験区の設定に当たって,A区を対照区,B・C区を試験区とした。対照区は施肥基準に基づき化学肥料を施用し,試験区は厩肥と尿をそれぞれアール当たり5,000kg:2,000kg,15,000kg:6,000kg施用し,前者をB区,後者をC区とした。B区のP_2O_5補足には過石を施用した。青刈トウモロコシ(品種名:ホワイトデントコーン)は播種量10アール当たり10kg,うね幅60cmで6月5〜6日に播種した。なお,本草の刈取りは雄花抽出後から乳熟初期に行った。消化試験には青刈トウモロコシの生草,天日乾草及びサイレージを用い,メン羊に給与した。1.4ヵ年の青刈トウモロコシの10アール当たり乾物重は各処理区とも1973年値が最も高かった。しかし,乾物重についてはどの年も処理間に有意差は認められなかった。2.粗蛋白質含量は窒素施用量の多いC区が最も高く,1972年値はC・A区とB区,他の年次はC区とA・B区との間にそれぞれ有意差(p<.01)が認められた。3.粗灰分含量は経年的に増加が認められた。4.Ca含量は厩肥・尿の施用量の多い区が低かった。5.KとNO_3-N含量は厩肥と尿の施用量の多い区が高かった。前者では各処理区とも経年的増加が認められるとともに,1975年値のC区が高くA区との間に有意差(p<.01)が認められ,後者では1974年値のC・B区が高くA区,1975年値はC区が高くA・B区との間にそれぞれ有意差(p<.05)が認められた。6.Na含量は経年的に各処理区とも低下の傾向を示した。7.P含量は1972年を除いて厩肥・尿施用区が高く,1973年はB区とC・A区,1974・1975年はB・C区とA区との間にそれぞれ有意差(p<.05)が認められた。8.生草・天日乾草及びサイレージの化学成分消化率比較をすると,それぞれの処理間でA区の粗蛋白質消化率が量も低く,生草・天日乾草のB・C区とA区との間に有意差(P<.05)が認められた。9.各処理区のサイレージ品質は評点優であった。10.青刈トウモロコシに厩肥・尿の連続多量施用を行った場合,刈取時期が雄花抽出期以後であれば硝酸中毒の危険は少ないが,経年的にK含量の増大が著しかった。
著者
熊井 清雄 福見 良平 丹比 邦保
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.303-306, 1984-10-31

アローリーフクローバーはイタリアを原産とする越年生マメ科牧草である。その歴史は新しく,1930年代にイタリア中部で最初に牧草として栽培された。その後,1950年代にアメリカに導入されて品種改良が進み,現在ではミシシッピー河の下流域を中心とする南部諸州で広く栽培されている。本草はわが国においては,これまでほとんど栽培されたことのない牧草であるが,原産地のイタリアやすでに広く栽培されているアメリカの気象データから推定して,わが国の温暖地に適するクローバーの一つと考えられた。そこで筆者らはアカクローバー(Trifolium pratense L.)を対照作物としてアローリーフクローバーを試作し,両者の収量ならびに飼料価値を比較検討したので,試験結果をここに報告する。
著者
熊井 清雄 服部 育男 福見 良平 バイヨボ トーマス B. 滝沢 登志雄
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.212-217, 1995
参考文献数
20
被引用文献数
1

登熟期別二条オオムギサイレージを調整した。乳熟期の材料は無予乾と予乾とした。糊熟期と黄熟期の材料は1)無処理,2)乳酸菌剤(LAB),3)セルラーゼ(AC)高水準,4)LAB+AC低水準,5)LAB+AC高水準の処理を行った。全サイレージは保蔵が良好でpHが低く,総酸が高かった。LABとAC高水準の組み合わせは乳酸と総酸の含量が高く,相乗効果が認められた。サイレージの粗蛋白質,粗脂肪および粗繊維の各消化率は登塾につれて低下し,NFEは逆に向上した。また,DCP含量は乳熟期サイレージで,TDN含量は黄熟期サイレージが高かった。酵素添加は乳酸菌剤の有無に拘らず,TDN収量を顕著に高めた。