著者
熊井 満喜 柊 幸伸
出版者
社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
埼玉理学療法 (ISSN:09199241)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.33-38, 2005 (Released:2005-07-29)
参考文献数
6

臨床における理学療法評価の中の動作分析は,理学療法士の手と目による動作分析が主であり,技量と経験に依存している部分が多い。動作分析の客観的評価機器には3次元動作分析装置や床反力計等が用いられているが,価格,操作性,設置場所等の問題があり,臨床で広く普及するには至っていないのが現状である。近年,加速度や角速度が計測できる小型のセンサが容易に入手できるようになり,理学療法やその隣接領域でそれらセンサを用いた動作分析の試みがなされてきている1-3)。今回,我々は市販の3軸角速度センサとA/D変換器を用いた動作分析システムを使用する機会を得た。3軸角速度センサを大腿部,下腿部,足部の3カ所に装着し,トレッドミル上の歩行分析を試みた。下肢の各関節の運動が細部にわたって記録できており,運動方向と運動速度の関係から動作の分析が可能であった。比較的安価に作成することが出来た今回のシステムは,臨床での客観的な動作分析に有用であると考えた。また,コンパクトで動作を拘束することが少ないため,歩行分析だけでなく,あらゆる動作分析に応用可能なものであると考えた。