著者
古谷 友希 柊 幸伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.835-838, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

〔目的〕加速度センサを使用し,衝撃吸収が行われる主な部位を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象者は男性11名,平均20.8±2.44歳の健常者を実験対象とした.踵骨部,腓骨部,大腿外側部の合計3台のセンサからデータを集積し,Friedman検定(Tukeyの方法)を用いて統計的有意差を検討した.〔結果〕踵骨部,腓骨頭部,大腿部での加速度(deg/sec/BW/WS)はそれぞれ4.2 ± 1.2,0.2 ± 0.03,0.1 ± 0.06だった.同様の部位のRMS(m/s2rms/WS2)はそれぞれ68.7 ± 20.9,5.4 ± 0.8,3.7 ± 1.6だった.踵骨部での加速度と腓骨部での加速度,踵骨部での加速度と大腿部での加速度の間において有意に差があった(p<0.01).腓骨部での加速度と大腿部での加速度の間に有意な差はなかった.踵骨部でのRMS値と腓骨頭部でのRMS値の間において有意に差があった(p<0.05),踵骨部でのRMS値と大腿部でのRMS値の間において有意に差があった(p<0.01).腓骨頭部でのRMS値と大腿部でのRMS値の間に有意な差はなかった.〔結語〕正常歩行中の衝撃は足関節で多く吸収されていることが判明した.
著者
小林 薰 柊 幸伸
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.183-187, 2023-04-01 (Released:2023-03-13)
参考文献数
8

Women who suffer out-of-hospital cardiac arrest receive cardiopulmonary resuscitation (CPR) and automated external defibrillator (AED) less frequently than that of men. Understanding the public perception on the necessity of the occurrence of life-saving disparities for fair intervention application to individuals with injuries and sickness is needed. The participants were undergraduate students of the university. Anxiety and irritability towards bystander CPR and AED operations were investigated. The participants of the analysis were 368 individuals (153 men and 215 women), of which 80.4% of men and 95.8% of women had anxiety about life-saving procedures. Regarding AED operation, 90 (58.8%) men and 74 (34.4%) women hesitated on removing clothing from a woman with injury or sickness. The reasons on women with injury and illness were less likely to be suitable with AEDs involved anxiety about life-saving procedures, litigation issues, and posting and spreading on social networking sites (SNS). Particularly, if men intervened with women with wounds, the main limitations were the risk of the act developing into a lawsuit and gaze of others, namely SNS. Bystander anxiety towards life-saving procedures was found to be strongly expressed by women. It also became evident that early recognition of cardiac arrest was not performed for patients with injuries 20–30% of the time. Training specifically for women with wounds and sickness may reduce sex differences in bystander CPR and AED application.
著者
小林 薰 柊 幸伸
出版者
一般社団法人 日本理学療法教育学会
雑誌
理学療法教育 (ISSN:24368008)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.2_52-2_61, 2023-10-31 (Released:2023-11-28)
参考文献数
31

目的:心肺蘇生教育の実施状況と内容および救命活動体制の整備と傷病者発生の実態を調査した。方法:対象は,理学療法士養成校延べ295校とした。心肺蘇生教育,救命活動体制,傷病者発生に関して郵送調査を行った。結果:295校中,141校から回答が得られた(回収率47.8%)。講習会は80.1%の養成校で開催されており,75.2%が講義と実技を組み合わせた形式であった。女性傷病者を想定した実施は,講義では29.5%,実技では15.7%であった。危機管理マニュアルがあると回答したのは24.1%であり,AEDは97.2%が学内にあると回答した。ケースの有無については3校の報告があり,学生においては「運動会・体育祭」で発生していた。結論:心肺蘇生教育は多くの養成校で開催されていたが,女性傷病者を想定していたのは講義29.5%,実技15.7%であった。基礎的な教育に加えてより実践的な取り組みを導入することや,危機管理マニュアル,AEDの適正配置といった体制を整備しておくことが必要である。
著者
小林 薰 柊 幸伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.55-58, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 2

〔目的〕大学生における運動有能感の高低と主観的健康感,主観的疲労感,主観的体力,運動習慣,運動部活動の経験を調査した.〔対象と方法〕本学の体育科目を履修した848名を対象とした.各自に質問紙とマークシートを配布し,それぞれの質問に該当する回答カテゴリーを1つだけ選択させた.〔結果〕χ2検定では,男女ともに運動有能感のlow群で「健康でない」,「運動部活動の経験なし」,high群で「体力がある」,「運動習慣がある」の割合が有意に多かった.〔結語〕体育科目以外での運動・スポーツ経験が不足している運動部活動の経験がない者にとっては,運動有能感が得られにくいだけではなく,運動の習慣化にも影響することが示唆された.
著者
熊井 満喜 柊 幸伸
出版者
社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
埼玉理学療法 (ISSN:09199241)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.33-38, 2005 (Released:2005-07-29)
参考文献数
6

臨床における理学療法評価の中の動作分析は,理学療法士の手と目による動作分析が主であり,技量と経験に依存している部分が多い。動作分析の客観的評価機器には3次元動作分析装置や床反力計等が用いられているが,価格,操作性,設置場所等の問題があり,臨床で広く普及するには至っていないのが現状である。近年,加速度や角速度が計測できる小型のセンサが容易に入手できるようになり,理学療法やその隣接領域でそれらセンサを用いた動作分析の試みがなされてきている1-3)。今回,我々は市販の3軸角速度センサとA/D変換器を用いた動作分析システムを使用する機会を得た。3軸角速度センサを大腿部,下腿部,足部の3カ所に装着し,トレッドミル上の歩行分析を試みた。下肢の各関節の運動が細部にわたって記録できており,運動方向と運動速度の関係から動作の分析が可能であった。比較的安価に作成することが出来た今回のシステムは,臨床での客観的な動作分析に有用であると考えた。また,コンパクトで動作を拘束することが少ないため,歩行分析だけでなく,あらゆる動作分析に応用可能なものであると考えた。
著者
柊 幸伸 加藤 宗規
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0572, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】膝関節屈曲伸展に伴う膝関節の回旋運動は終末強制回旋運動(SHM)として知られている。SHMは水平面上の小さな動きであり,先行研究には,X線,MRI,CT等を用いた詳細な計測研究もあるが,その対象は屍体下肢標本や模型モデル,動作の一部を再現した生体の静止姿勢であることが多い。動作中の膝関節の回旋運動を計測した先行研究には,3次元動作解析装置や,X線による2方向イメージマッチング法を利用したもの等がある。しかし,これら先行研究でも,下肢に荷重のかからない開放性運動連鎖(OKC)の環境での計測がほとんどであり,下肢に荷重がかかり末端が固定された閉鎖性運動連鎖(CKC)の環境で膝関節の回旋を計測したものは少ない。動作時のSHMの存在の有無とその程度は,膝関節軟骨への負荷や前十字靱帯をはじめとする膝関節周囲の靱帯への負担を考慮する上で非常に重要な要素となる。そこで本研究の目的は,OKCとCKCの異なる環境下で,膝関節屈曲伸展に伴う回旋運動を計測し,SHMの存在を確認し,その特性を明らかにすることとした。【方法】被験者は,理学療法士養成大学学生43名(男性32名,女性11名)であった。計測にはモーションセンサを2セット使用し,左下肢の腓骨小頭下部,および大腿骨外側上顆上部のそれぞれ矢状面上に固定した。OKC環境下では,足底を浮かせた端座位姿勢で,膝関節伸展および屈曲運動を計測した。CKC環境下では,端座位姿勢から立位姿勢,および立位姿勢から着座し端座位姿勢となるまでの動作を計測した。計測した角速度データを積分し,動作中の角度変化を算出した。【結果】OKC環境下での膝関節伸展時,大腿に対する下腿の相対的な回旋運動は外旋運動であり,その最終肢位の外旋角度は15.16±7.85度であった。CKC環境下では,6名の被験者を除き内旋運動を伴い,その最終肢位の内旋角度は12.15±6.54度であった。外旋運動を伴った6名の外旋角度は5.74±4.20度であった。OKC環境下での膝関節屈曲時,大腿に対する下腿の相対的な回旋運動は内旋運動であり,その最終肢位の内旋角度は13.26±8.04度であった。CKC環境下では,5名の被験者を除き外旋運動を伴い,その最終肢位の外旋角度は12.54±7.34度であった。内旋運動を伴った5名の内旋角度は6.79±5.86度であった。OKCとCKCの異なる環境における膝関節屈曲・伸展に伴う外旋・内旋角度には有意な差を認めた。【結論】SHMはOKC環境のみで認められる現象であり,CKC環境下では逆の運動となることが分かった。このことは,膝の靱帯損傷後の理学療法においては,注意を要する基礎データとなると考えた。たとえば,CKC環境下での膝関節伸展は,相対的な内旋運動を伴い,前十字靱帯へのストレスが増加する可能性があることが理解できる。このように,本研究の結果は,従来のSHMの定義と異なる点や,付加すべき情報を含み,臨床への貴重なエビデンスになると考えた。
著者
小林 薫 丸山 仁司 柊 幸伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.401-404, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
15

〔目的〕転倒回数の違いが座位両足開閉ステッピング(以下開閉ステッピング)におよぼす影響を検討した.〔対象〕歩行が自立している高齢者67名(男性10名,女性57名:平均年齢78.3±5.3歳)とした.〔方法〕過去1年間の転倒回数により非転倒群,1回転倒群,複数回転倒群の3群に分類した.開閉ステッピングにおける施行回数を群間で比較した.〔結果〕開閉ステッピング施行回数は,非転倒群15.2±2.1回,1回転倒群12.6±1.7回,複数回転倒群11.5±2.1回であった.1回転倒群および複数回転倒群の施行回数は非転倒群よりも有意に少なかった.〔結語〕開閉ステッピングが高齢者の転倒リスク評価として応用できる可能性が期待できた.