著者
羽二生 博之 熊耳 浩 榎本 浩之
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

オホーツク海の流氷の動きをDMSP衛星に搭載されたSSM/Iセンサーによるミリ波レーダー画像に画像相関PIV法を用いて解析した。冬のオホーツク海は雲に覆われ可視光での観測が難しいが、ミリ波レーダー画像では厚い雲を通して流氷を観測できる。米国雪氷データセンターから入手した37GHzおよび85GHzの画像データに対して、ピンホールノイズ除去や画像の平滑化処理を施し、さらには37GHzと85GHzの画像を複合して開水域に残った雲の画像を除去した。こうして得られた鮮明な画像を元に、まず数年間の流氷の動きを調べ、流氷の多い年と少ない年の特徴を比較した。次に、画像相関PIV法を用いて流氷帯内部の流氷の動きと流氷境界部の動きを比較検討し、流氷が生成される領域を推定した。また、PIVによる解析に先立ち、解析マトリックスの形状等に関する検討を行い、94年に行われたGPSビーコンの追跡データとPIVの解析結果を比較して本研究でのPIV手法の信頼性を確認した。解析の結果、1)北西の季節風の強さによって年ごとのオホーツク海の流氷の量が決まること、2)北海道近海では毎年流氷が渦を形成する領域が発生すること、3)北西からの強くて極寒の季節風よって流氷がロシア東海岸から離れて海岸付近に開水域が現れ、その海面が凍って流氷が生成されることが分かった。