著者
安井 雅明 榎本 浩之 守安 一平 中村 吉秀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.7_42-7_48, 2009 (Released:2012-03-27)
参考文献数
3

21世紀の現在,地球環境問題への対応も含め,スクラップアンドビルドから既存ストックの有効活用が促進されている。阪神甲子園球場は大正13年に開設された鉄筋コンクリート造の歴史的価値のあるストックである。今回甲子園球場は,歴史と伝統の継承のため,建て替えではなく既存躯体を生かした全面リニューアル工事を行うこととなった。本稿では,リニューアル工事における耐震補強,耐久性改善工事を中心に,その概要と実施工について報告する。
著者
MATOBA Sumito(的場澄人) MOTOYAMA Hideaki(本山秀明) FUJITA Koji(藤田耕史) YAMASAKI Tetsuhide(山崎哲秀) MINOWA Masahiro(箕輪昌紘) ONUMA Yukihiko(大沼友貴彦) KOMURO Yuki(小室悠紀) AOKI Teruo(青木輝夫) YAMAGUCHI Satoru(山口悟) SUGIYAMA Shin(杉山慎) ENOMOTO Hiroyuki(榎本浩之)
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
Bulletin of Glaciological Research (ISSN:13453807)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.7-14, 2015 (Released:2015-12-08)
参考文献数
20
被引用文献数
10

During spring 2014, we drilled an ice core on the northwestern Greenland Ice Sheet, recovering a core of total length 225m. We also conducted stratigraphic observations, measurements of the density of the ice core, near-infrared photography of the ice core, preparation of liquid samples for chemical analysis, and measurements of borehole temperature. The pore close-off depth was 60m, and the temperature in the borehole was −25.6°C at a depth of 10m. In addition, we conducted snow-pit observations, ice-velocity and surface-elevation measurements using the global positioning system (GPS), meteorological observations, and installation of an automated weather station (AWS).
著者
ALIMASI Nuerasimuguli 榎本 浩之
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.17-30, 2017 (Released:2023-03-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1

温暖化が進む北極圏における雪氷状況の監視は気候研究にとって重要である.北極域の調査・研究活動も活発化している中で,雪氷変化は大気,海洋,陸域など様々な変化に関係するため重要な観測項目になる.また,既に得られた観測データの地域や時期の代表性評価についても,時間的・空間的に連続した長期衛星観測が有効な情報となる.さらに,観測前に広域・長期情報より調査の地域や期間を効果的に選定することにも衛星観測は有効である.本研究では,日射のない極夜でも観測可能で,雲や霧など天候の影響を受けにくいマイクロ波観測データより,積雪期間と融雪期間の推定を行なった.注目した北極域は,日本の観測グループが活動している地域を中心に,北アメリカの高緯度域,シベリア,スカンディナビア周辺域及びスバールバル諸島,グリーンランドである.北アメリカでは南部から北東方向に向かっての融雪域の移動により,7月にはグリーンランド,スバールバルに至る.グリーンランドでは,南部の顕著な融解に対し,北部の内陸高所ではほとんど融解が起きていないが,最高所においてもDAVより融解の可能性を探査できる.ユーラシア大陸ではスカンディナビアなどの西部からシベリア方面の東部への融雪域の移動などが観察され,大陸による違いや南部や東西の傾向の差が観察された.
著者
安仁屋 政武 MARINSEK Sebastián 紺屋 恵子 縫村 隆行 津滝 俊 刀根 健太 BARCAZA Gonzalo SKVARCA Pedro 杉山 慎 青木 賢人 松元 高峰 安間 了 内藤 望 榎本 浩之 堀 和明
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
氷河情報センター (ISSN:13453807)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-17, 2011
被引用文献数
2 9

The Glaciological Research Project in Patagonia (GRPP) 2006-2009 was carried out with several objectives at Glaciar Perito Moreno of the Hielo Patag&oacute;nico Sur (HPS), in the area of the Hielo Patag&oacute;nico Norte (HPN) and along the Pacific coast. At Glaciar Perito Moreno, hot water drilling was carried out at about 5km upstream from the terminus, reaching the glacier bottom at ca. 515m, in order to monitor subglacial water pressure. Good positive correlations among air temperature, subglacial water pressure and glacier flow speed were found. Based on <sup>14</sup>C dating of tree and organic samples, it is proposed that Glaciar Perito Moreno made two Little Ice Age (LIA) advances at AD1600-1700 and ca. 130-100y BP (AD1820-50). Fan deltas located at the mouth of big rivers around Lago General Carrera (Buenos Aires) and Lago Cochrane (Pueyrredon), in the area east of the HPN, were investigated to elucidate their development. The variations of 21 outlet glaciers of the HPN elucidated from aerial surveys for 2004/05-2008/09 revealed an areal loss of 8.67km<sup>2</sup> in four years. A general slowing down of retreats was observed with a few exceptions. Meteorological measurements at Glaciar Exploradores of the HPN from 2005 to 2009 indicate that air temperature ranged from 17.4&deg;C to -10.5&deg;C. The total annual precipitation was about 3000mm. Glacier surface melt was observed at two spots. Sediment and water discharges from the glacier showed that while water discharge fluctuated a lot, suspended sediment concentration was rather stable in summer. A single channel seismic profiling during the JAMSTEC MR08-06 cruise identified a probable submerged moraine formed before the last glacial maximum (LGM) in the Golfo de Penas, south of Taitao Peninsula. Piston coring along the Chilean coast further indicates that ice-rafted debris recorded the LGM and earlier Late Pleistocene events of the glacial advance.
著者
滝沢 隆俊 大島 慶一郎 牛尾 収輝 河村 俊行 榎本 浩之
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.335-346, 1997-03

コスモノート海(60-68°S, 35-65°Eの水域)において, コスモノート・ポリニヤの特徴を明らかにするため, 1987年から1992年の間, JAREの夏観測で得られた水温データの解析を行った。沿岸域には水温-1.5℃以下の冷い水塊が広範囲に存在した。その沖合い北東から北西にかけて, 水温1℃以上の暖かい周極深層水が150m以深に認められた。1987年から1991年のSSM/I画像の解析によると, 持続性のある典型的コスモノート・ポリニヤが1988年に現れた。その他の年は小規模なポリニヤが散発的に出現するのみでポリニヤ活動は弱い年であった。一方, 約66°S, 50-60°Eの沿岸域には例年頻繁に沿岸ポリニヤが現れた。また, コスモノート・ポリニヤから東に向けて, 点在するポリニヤ列がしばしば認められた。このポリニヤ列は, 大気の南極収れん線と海洋の南極発散域に沿って形成されると考えられる。
著者
漆原 和子 鹿島 愛彦 榎本 浩之 庫本 正 フランツ ディーター ミオトケ 仲程 正 比嘉 正弘
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.45-58, 1999
参考文献数
38
被引用文献数
2 3

Observations of the solution rate of limestone tablets from 1993 to 1997 have been utilized to clarify the degree of karstification from northern to southern Japan.<BR>Limestone tablets were placed at seven observation points stretching from northern to southern Japan : Toma, Abukuma, Chichibu, Akiyoshidai, Shikoku Onogahara, Ryugado, and Minamidaito. Three groups of four limestone tablets from Slovenia, Guilin (China), Chichibu, and the fourth tablet from limestone indigenous to the obsevation point, were arranged on three levels at each observation point : 1.5m above the ground, the A3 horizon, and the B<SUB>2</SUB> horizon. Measurements were taken of the solution rates of the tablets at each observation point from 1993 to 1997. Thornthwaite's method was used for calculating water balance to ascertain the relation between solution rate and water balance factors. The solution rates of limestone tablets placed 1.5m above the ground show a high correlation coefficient between (water surplus (WS) minus water deficit (WD)). On the other hand, limestone tablets planted in the soil had a solution rate from two to three times higher than those suspended in the air. The solution rates of limestone tablets located in the A<SUB>3</SUB> and B<SUB>2</SUB> horizons exhibited the highest annual precipitation correlation coefficient. The high CO<SUB>2</SUB>values under warm, humid conditions may account for the higher solution rates of the tablets planted in the soil.<BR>The solution rate tendency curve achieved its greatest range during the five years in direct proportion to the WS-WD ratio in 1993, when a cool, humid summer prevailed throughout most of Japan. The solution rate tendency curve marked its smallest range during the five years in proportion to the WS-WD ratio at all locations for limestone tablets suspended in air in 1994, under conditions of an extremely hot and dry summer, such as occurs only once in a hundred years. In general, however, the solution rates of the limestone tablets were high when the WS-WD ratio ranged between 1, 000 to 1, 600mm. Within this range, the solution rates at each observation point decreased slightly as the WS-WD ratio decreased.
著者
藤田 秀二 上田 豊 東 久美子 榎本 浩之 亀田 貴雄 高橋 修平 古川 晶雄 松岡 健一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.415-425, 2002-07-15 (Released:2009-08-07)

近年のデータ通信環境の進歩に伴い,南極雪氷観測データの取り扱いに関しても,その保存・公開方法の見直しが急務となっている.南極研究プロジェクトの努力の結晶であるデータが,将来にわたり価値を保ちつつ研究に活用され,散逸の危険なく安全な保存がなされ,且つ,アクセス権・版権・公開方針が一定のルールのもとで取り扱われる必要がある.こうしたマネジメントの善し悪しが,研究コミュニティーの将来の知的生産性に決定的に影響するため,問題提起と要点の整理を目的として本稿を提出する.各国の事例を参考に,マネジメントに求められる諸機能を分析した.重要な点は,長期に安全に維持運営される必要があること,国家事業として実施されてきた南極観測を対象としたマネジメントであること,それに,研究コミュニティーがこれを実質的に構築し且つ利用者となることである.このため,(1)南極研究機構のなかでデータマネジメント機構を作る体制が望ましい.(2)情報管理の専門性と手間を考慮した場合,専門情報技術者を配置した維持管理が不可欠である.さらに,(3)仕組みが機能するには,研究コミュニティーからのサポートが不可欠である.
著者
高橋 修平 佐々木 正史 大橋 鉄也 川村 彰 榎本 浩之 鈴木 聡一郎 高橋 清 亀田 貴雄 菅原 宣義 堀 彰 舘山 一孝 中山 恵介
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

研究課題について次のような成果を得た。(1)知床半島は海氷の流れに対して「せき止め効果」を持ち、北海道で最も長く海氷が接岸する。(2)知床峠の山間部では吹き払いによる無雪区間と5m以上の吹きだまり区間と地形に依存する積雪特性が得られた。(3)知床半島で陸生動物も入った栄養塩循環が確認された。(4)送電線がいしに海塩汚損と着氷による電力障害を観測し、低温実験室内でも再現できた。(5)雪氷環境と人間社会に関する様々な課題が研究された。
著者
大島 慶一郎 江淵 直人 青木 茂 深町 康 豊田 威信 松村 義正 北出 裕二郎 舘山 一孝 二橋 創平 小野 数也 榎本 浩之 木村 詞明 田村 岳史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

海洋中深層循環及びその変動を決めうる海氷生産量を、衛星データ等から見積もるアルゴリズムを開発し、そのグローバルマッピングを初めて行った。沿岸ポリニヤでの高海氷生産過程を長期係留観測から明らかにし、アルゴリズムの検証も行った。南極第2の高海氷生産域であることが示されたケープダンレー沖が未知の南極底層水生成域であることもつきとめた。南極海とオホーツク海では、海氷生産量の変動が底層水や中層水の変質とリンクしていることを明らかにし、中深層循環弱化の可能性を指摘した。
著者
安仁屋 政武 青木 賢人 榎本 浩之 安間 了 佐藤 和秀 中野 孝教 澤柿 教伸
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

エクスプロラドーレス氷河の前面にある大きなモレインの形成年代を推定すべく周辺で合計15点の^<14>Cによる年代測定試料を採取した。大きなモレインの6つの試料の年代は9250BPから820BPである。このデータからは形成年代に関して確定的なことは言えないが、モレインの堆積構造、試料の産出状況、植生、年輪などから14-17世紀頃の小氷期に形成されたと解釈した。氷河観測では、D-GPS静的測位を用いた氷河流動測定、 D-GPS動的測位を用いた氷河表面形態の測量、5MHzアイスレイダーによる氷厚測定を行った。流動は各期に氷河上の巨礫を反復測定し、末端部付近では50m、アイスフォール下部では140m程度の水平流動を得た。また、末端部付近では著しい上方向の流動があることが観測された。レイダーによる氷河末端付近の氷厚は260〜300mと推定された。氷河流域の年間水収支を算出し、それにより氷河の質量収支を推定した。2004年12月から末端付近に自動気象・水文観測ステーションを設置し、観測を継続している。また、夏季(2004年12月)、冬季(2005年8月)の双方で、氷河上の気象要素分布・表面熱収支・融解量分布などの観測を実施して、氷河融解の特性を明らかにした。2004年12月から2005年12月までの1年間における末端付近の平均気温は7.4℃、降水量は約3300mm、さらに氷河流出河川の比流出量は約6600mmであった。ペリート・モレーノ氷河において、中流部の表面高度測量および歪速度観測、カービングフロント付近の氷河流動の短期変動観測および写真測量、融解観測、氷河湖水位観測、中流部におけるGPS記録計による年間流動の観測、氷河脇山腹における長期写真記録および温度計測を行なった。近年上昇していた中流部の表面高度が2004年〜2005年で減少していた。この地域に2004-2005年の期間にストレイングリッドを設置してひずみや上昇速度を観測したが、大きな下降速度が計算された。また移動速度は0.8〜1.2m/dayの値が観測された。氷河末端部の測量からは、1.5m/dayを超える速度が多くの地点で観測された。
著者
羽二生 博之 熊耳 浩 榎本 浩之
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

オホーツク海の流氷の動きをDMSP衛星に搭載されたSSM/Iセンサーによるミリ波レーダー画像に画像相関PIV法を用いて解析した。冬のオホーツク海は雲に覆われ可視光での観測が難しいが、ミリ波レーダー画像では厚い雲を通して流氷を観測できる。米国雪氷データセンターから入手した37GHzおよび85GHzの画像データに対して、ピンホールノイズ除去や画像の平滑化処理を施し、さらには37GHzと85GHzの画像を複合して開水域に残った雲の画像を除去した。こうして得られた鮮明な画像を元に、まず数年間の流氷の動きを調べ、流氷の多い年と少ない年の特徴を比較した。次に、画像相関PIV法を用いて流氷帯内部の流氷の動きと流氷境界部の動きを比較検討し、流氷が生成される領域を推定した。また、PIVによる解析に先立ち、解析マトリックスの形状等に関する検討を行い、94年に行われたGPSビーコンの追跡データとPIVの解析結果を比較して本研究でのPIV手法の信頼性を確認した。解析の結果、1)北西の季節風の強さによって年ごとのオホーツク海の流氷の量が決まること、2)北海道近海では毎年流氷が渦を形成する領域が発生すること、3)北西からの強くて極寒の季節風よって流氷がロシア東海岸から離れて海岸付近に開水域が現れ、その海面が凍って流氷が生成されることが分かった。
著者
榎本 浩之 東 久美子 亀田 貴雄 藤田 秀二 本山 秀明
出版者
日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.405-414, 2002-07-15

日本雪氷学会の極地雪氷分科会の将来計画に関するワーキンググループにおいて,次期の南極観測計画について検討を行った.観測計画は2002年よりの観測開始にむけて準備が進んでいる.研究課題の概要について報告する.<BR>地球規模の環境変動の研究という視点から南極観測を見直し,優先して推進すべき研究課題の調査を行なった.その中から雪氷研究プロジェクトとして推進するのが望ましい課題の抽出,より良い観測体制などについて検討した.優先すべき研究課題として i)過去70~80万年間の気候変動及び氷床形成史に関する研究,ii)堆積環境,氷床変動に関する研究・過去数百年の環境変動の研究,iii)氷床への物質の堆積及び蓄積機構の研究,iv)氷床内部構造の研究,を推薦し,「氷床―気候系の変動機構の研究観測」として極地研究グループに提言した.