著者
片岡 尚也
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.105_3-105_3, 2016

<p> 近年多発するスポーツ界や運動部をめぐるいじめ、未成年による飲酒や暴力事件をはじめとした不祥事は、メディアを通して社会的関心を集める。そして、このような不祥事を起こした運動部は、所属組織により処分が科されることになる。不祥事に関するこれまでの研究は、その発生原因(杉本、2013)や処分に対する責任性に着目した研究(大嶺・友添、2014)などがなされてきた。しかし、実際に不祥事を起こした運動部やその部員がどのように変容していくのかについては十分に検討されていない。そこで本研究は、不祥事を起こした大学運動部を事例に、不祥事を起こした当事者だけでなく、他の運動部員も含め、彼らが「無期限活動停止処分」をどのように意味づけながら更生していくのかを明らかにすることを目的とした。不祥事が発生してからの経時的な流れに即して、対象の運動部員に対して複数回のインタビューを行った。その結果、対象者らは「無期限活動停止処分」を「不安」や「絶望」を生む負の装置として意味づける過程から、「部活動から離れる」ことで「成長」や「おかげ」という価値ある体験として意味づけていく過程がみられた。</p>