著者
牛久保 明邦
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.216-227, 2003-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
8
被引用文献数
4 6

食品から排出される廃棄物は, 生産・流通の段階のみならず消費段階における家庭から発生する廃棄物が, 食品廃棄物総排出量の半分以上を占めている。このような状況のなか, 食品リサイクル法が施行され食品廃棄物の発生を抑制し, 資源として有効に活用する循環型社会の形成が求められている。そこで, 食品製造業から発生する食品産業廃棄物と家庭から発生する家庭系食品廃棄物の実態を明らかとするために調査を実施した。食品産業廃棄物中の汚泥排出量は, わが国の汚泥排出総量の3.1%を占め, 動植物性残さは動植物性排出総量の78.2%に達していることが明らかとなった。また, 家庭系食品廃棄物の内, 調理くずと食べずに捨てられるものが廃棄物の発生重量の70%を占めていた。家庭系食品廃棄物の家庭内でのリサイクルには困難さが多く, 発生抑制や分別の徹底が資源として活用する上で重要である。
著者
金 元淑 後藤 基寛 入江 満美 山口 武則 牛久保 明邦
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.175-182, 2008-07-10
参考文献数
16
被引用文献数
1

近年、中国経済の発展による都市規模の拡大や農村地域の都市化への加速に伴う人口密度の集中および生活水準の向上につれて、都市ごみ中の食品廃棄物の含有量が増加しつつある。このことは、都市ごみの無害化処理率が低く、野積みのごみに包まれ、環境汚染問題が顕在化している中国の都市ごみ処理に一層困難をもたらしている。食品廃棄物のコンポスト(堆肥)化は中国現状に適した有効な処理方法の一つである。しかし、食品廃棄物には油分や塩分が含まれており、これらの濃度も異なることから、食品廃棄物のコンポスト化過程にも影響を与えることやコンポストを土壌施用した際に植物障害を生じる可能性が考えられる。本研究では、食品廃棄物中の油分および塩分がコンポスト化過程に及ぼす影響ならびにコンポスト中の油分および塩分がコマツナの生育に及ぼす影響について、原材料にそれぞれ油分・塩分を添加してコンポスト化させ、その製造コンポストを用いて、化学分析・発芽試験並びに簡易幼植物栽培試験を用いて検討した。本研究により、食品廃棄物コンポストの原料に油分を36%まで含有してもコンポスト化が可能であり、作成したコンポストもコマツナへの生育抑制は見られず、コンポストとして使用可能であることが判明した。また、食品廃棄物コンポストの原料に塩分を8%まで含有してもコンポスト化は可能であり、作成したコンポストを用い、施用量を10a あたりに1tと仮定すると、コンポスト中の塩分含有量は乾物あたり8%以下であればコマツナの生育に影響はないことが判明された。