著者
牛田 憲行
出版者
愛知教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

世界で唯一最多のニュ-トリノ・エマルジョン(νEm)反応(FNAL E531)を解析しその荷電カレント(C.D)反応における終状態二次粒子(SHOWER Ns,GREY Ng,BLACK Nb)の多重度、角分布、エネルギ-分布、各粒子相互の相関を調べた。W依存性とKNO scalingの様子から〈Ns〉はPROJECTILE粒子の種類によらず、むしろ標的に依ることがわかった。Nbの角分布、エネルギ-分布からこれが核からの蒸発粒子であることが明確となった。Ngについては、陽子・EMULSION(pEm)反応と比べ多重度の低い所ではνEmの方が多く、逆に高い所では逆になっていて、νEmとpEmとでPROJECTILEの核内相互作用の違いによるNgの頻度の差が浮き彫りにされた。〈Ns〉はW^2に依存して漸次増加するのに対して〈Ng〉も〈Nb〉もW^2の値によらずほぼ一定となった。NbとNgとの間には強い相関があり、これらはUNIVERSALな勾配をもつが、Nsと無関係である。Ngの角分布はpEmに比べ前方への傾きは緩やかで、Ngの前後方の放出比はpEmよりも小さく、pEmの場合よりも多く後方に放出される。νEmにおける核効果を解く鍵がNgであり特に後方に出るNgが重要で(核子標的の場合後方放出は禁止される)、さらに300MeV/c以上の後方放出Ng(CUMULATIVE PROTON;CP)生成について約700例のC.C反応を完全解析してCUMULATIVE EFFECTを調べた。CPの運動量自乗分布の勾配は他のνNeやハドロン実験での値と良い一致をし〈A〉=80の場合でもNUCLEARE SCALINGが成立していることがわかった。CPの生成率はA^αに依存し他の泡箱実験と本研究のデ-タから20≦A≦80にたいしてα=0.68となりA^<2/3>に依存することがわかった。また10≦Eν≦200GeVにわたってCPの生成率にエネルギ-依存性がないことがわかった。後方放出Ngと前方放出Ngの間には相関があり、核内のSUCCESIVEなREINTERACTIONの過程から前方陽子が増えると後方陽子も増えるというCP生成模型が有効であると考えられる。