著者
牧 千亜妃 菅野 淑江
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-25, 2016-03

2012 年の厚生労働省の地域保健対策の推進に関する基本的な指針改定により、「地域保健対策推進に当たっては、地域のソーシャル・キャピタルを活用し、住民による共助への支援を推進すること」との記述が追加された。そのキーワードであるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)という概念は、社会あるいは集団に属しながら生活していく上において、必要で大切な人々の関係性(きずな)に着目した概念である。健全な集団・社会を考えた時、それに属する人々がその集団・社会に信頼を寄せているか。互いにゆずりあいの精神で共助の関係が維持されているか。良好なコミュニケーションネットワークが築かれているかが大切である。すなわち「社会への信頼」「互酬性の規範」「ネットワーク」と言った社会組織が本来持っている特性を抽出して人々の協調行動を活発化し、社会の効率性を高めるものとして定義された。その概念と生まれてきた背景及び、ソーシャル・キャピタルの意義について論じる。