著者
渡邊 隆夫
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.27-42, 2019-03-31

本論考では、ナースプラクティショナー養成分野設置の経緯とその社会的背景、さらに開講後の進学者の学修状態、修了後の活躍などについて振り返り、医療現場における新しい職種としての期待と予想される効果について考察する。北海道から沖縄まで全国から58 名の入学者を迎え、6 期生までで41 名の修了者を輩出し、全員が日本NP 教育大学院協議会のNP 資格認定試験に合格し各病院などで活躍している。この間、保健師助産師看護師法の発布後実に68 年にして初めて「診療の補助」に係わる一部改正が行われ、看護師の業務拡大策として、看護師の特定行為に係わる研修制度が開始され、本学は東北地方唯一の21 特定行為区分を履修可能な研修機関に指定されている。在学生の教育では在職大学院のスタイルを貫きつつ講義・演習・病院実習とも徐々に改善を図り、また生涯研修の充実も図ってきた。看護師の業務拡大は新時代の医療に不可欠であり、病院医療に資するとともに在宅診療の場でこそ大きな活躍が期待される。実習協力施設での積極的な受け入れ、宮城県などの学費関連支援などもあり入学希望者が増加傾向にある。本学の特徴を生かした多彩な教師陣および地域医師団との協力を深め、さらに充実した教育体制を築いていきたいと考えている。
著者
作山 美智子 小笠原 喜美代 安藤 莉香
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-21, 2020-03

高齢者の単独世帯が増加しており、ひとり暮らし高齢者は2020年には高齢者の中で16.4%と予想されている。地域包括ケアシステムの具現化、専門職による多職種連携が推し進められている現在、訪問看護師が「ひとり暮らし」利用者の訪問看護の中で、生活を支えるために実際に実践していることは「療養相談」「傾聴」「会話の促進」が6割だった。利用者が活用している専門職、他等の支援は多い順から「ケアマネジャー」「介護職・ヘルパー」「別居の家族・親戚」だった。ひとり暮らし療養者に関して【自助力の不足】【家族の対応能力】【互助力の不足】【公的支援の不足】【緊急時・災害時の対応】を訪問看護師は課題と感じていた。
著者
齋藤 真人 渡邊 隆夫
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.3-10, 2018-03-31

超音波検査は非侵襲的かつリアルタイムに患者の身体情報を収集できるアセスメント機器である。フィジカルアセスメントや看護ケアを行う際のツールとして超音波検査は画像で評価をおこなうことから情報の客観性が高く、患者に対して無侵襲かつ経時的に評価が可能である。さらには必要な情報を可視化できる点で非常に有用である。患者に接する時間の多い看護師にとって超音波検査は聴診器とならび臨床業務の補助器具として有用性が高い機器である。大学院教育で超音波検査について系統的に学習する診療看護師が看護学領域での超音波検査の活用をリードしていくことで臨床看護にとって超音波検査が身近な存在となりえる可能性が示唆された
著者
伊藤 厚子 馬場 薫 田中 幸子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-11, 2020-03

本研究の目的は、病院で看護職が受ける職員間暴力・ハラスメントの実態と抑うつとの関連を明らかにすることである。400床以上500床未満の3病院、1,107名の看護職を対象に質問紙調査を行い、抑うつ状態の評価はCES-Dを使用した。職員間暴力・ハラスメントを受けた者のうち、所属長に報告した者は32.7%であり、言葉の暴力・いじめ・パワハラを受けた者は受けたことがない者よりCES -D得点が高いことが明らかとなった。職員間暴力・ハラスメントの中でもいじめを受けた者は特に抑うつ傾向を誘発しやすいことから、管理者は職員の人間関係に注意するとともに、職員が報告や相談をしやすい環境や関係作りの必要性が示唆された。
著者
牧 千亜妃 菅野 淑江
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-25, 2016-03

2012 年の厚生労働省の地域保健対策の推進に関する基本的な指針改定により、「地域保健対策推進に当たっては、地域のソーシャル・キャピタルを活用し、住民による共助への支援を推進すること」との記述が追加された。そのキーワードであるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)という概念は、社会あるいは集団に属しながら生活していく上において、必要で大切な人々の関係性(きずな)に着目した概念である。健全な集団・社会を考えた時、それに属する人々がその集団・社会に信頼を寄せているか。互いにゆずりあいの精神で共助の関係が維持されているか。良好なコミュニケーションネットワークが築かれているかが大切である。すなわち「社会への信頼」「互酬性の規範」「ネットワーク」と言った社会組織が本来持っている特性を抽出して人々の協調行動を活発化し、社会の効率性を高めるものとして定義された。その概念と生まれてきた背景及び、ソーシャル・キャピタルの意義について論じる。
著者
千葉 桂子 林 ゆう
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.21-27, 2022-03-31

認知症高齢者の治療法は、主に薬物療法と非薬物療法に分類される。本研究では、研究者の実習時の体験から非薬物療法の一つである音楽療法に注目し、文献検討を行い、認知症に対する音楽療法の効果と今後の課題を検討することである。研究方法は、医学中央雑誌Web 版を使用し、「認知症高齢者」、「音楽療法」、「認知機能」のキーワードとし、対象論文の抽出を行った。9件の対象論文を抽出し、対象者、介入方法と評価方法、主な研究結果、考察に分類を行い、表を作成した。認知症高齢者に対しての音楽療法の内容は多岐にわたり、音楽だけではなく、音楽と体操や手遊びを併せて実施され、認知症高齢者の情緒の安定や活動性の向上に効果がみられた。音楽療法は身近で生活の中に取り入れやすい反面、プログラム内容の検討や音楽療法の専門性を高める取り組みが課題といえる。
著者
伊藤 厚子 馬場 薫 田中 幸子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-11, 2020-03-31

本研究の目的は、病院で看護職が受ける職員間暴力・ハラスメントの実態と抑うつとの関連を明らかにすることである。400床以上500床未満の3病院、1,107名の看護職を対象に質問紙調査を行い、抑うつ状態の評価はCES-Dを使用した。職員間暴力・ハラスメントを受けた者のうち、所属長に報告した者は32.7%であり、言葉の暴力・いじめ・パワハラを受けた者は受けたことがない者よりCES -D得点が高いことが明らかとなった。職員間暴力・ハラスメントの中でもいじめを受けた者は特に抑うつ傾向を誘発しやすいことから、管理者は職員の人間関係に注意するとともに、職員が報告や相談をしやすい環境や関係作りの必要性が示唆された。
著者
鈴木 秀樹 藤本 幸三
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.41-50, 2017-03-31

看護学科2年次学生の「日常生活援助実習」の履修後において、看護の観かた、捉え方を明らかにすることを目的とし、Kohonenの自己組織化マップを用い分析を行った。その結果、36語8クラスターで構成され、[実習後の初期の看護観形成][看護ケアの熟考][看護に対する内省と新たな認識][看護の対象者への理解の深まり][看護に関する見識の広がり][看護の意味づけ]の6カテゴリーが抽出された。看護実践の経験の中で学生は、内省すると共に患者の背景を捉え、ケア提供の必要性への気付きが示唆され、患者との信頼関係を構築する上でのコミュニケーションスキルの重要性を十分に認識したと考えられた。実習後の看護観形成において、学生のレディネスと学生を支援する教員の力量が影響すると推測され、学内での学修と実践の場で体験したことを有機的に結びつける等、教育支援体制の構築にあたっての考慮すべき点について、いくつかの示唆が得られた。