著者
松島 芳文 大根 光朝 入野 孝男 桜井 昌彦 牧 睦
出版者
Japanese Cleft Palate Association
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.93-97, 1992

CF#1マウス3系統(CF#1/0hu,CF#1/Jms,およびCF#1/Jah)における自然発症の裂奇形について検索した.対照としてA/JマウスおよびSM/Jマウスを用いた.その結果は以下のようであった.<BR>1.CF#1の3系統はいずれも口蓋裂の単独自然発症を示し,発症率は約3%であった.唇顎口蓋裂および唇の発生は1例も認められなかった.対照のA/Jでは,口蓋裂が2.2%,唇顎口蓋裂が6.5%認められた.<BR>SM/Jでは,裂奇形は1例も認められなかった.<BR>2.CF#/1に発現した裂型は硬軟口蓋裂であった.A/Jでは硬軟口蓋裂と唇顎口蓋裂であった.<BR>3.CF#1における口蓋裂単独自然発症はヒト口蓋裂の遺伝的な発現様態との一致性を示唆した.<BR>したがって,CF#1マウスは口蓋裂遺伝子の解明に有用なモデル動物と考えられた.