著者
牧田 義也
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、20世紀前半のアジア太平洋地域における公衆衛生制度の形成過程に対して、アメリカ合衆国の海外医療事業が与えた影響を、アメリカ赤十字社及び同社が主導した国際赤十字連盟の保健事業に焦点を当てて考察した。1898年の米西戦争以降、アジア太平洋地域への進出を加速した合衆国は、20世紀初頭に同地域で多くの医療事業を展開した。本研究はアメリカ赤十字社の海外医療事業に注目し、同社の活動が植民地医学を基盤としつつ、現地住民との協働・対立を通じて、各地の保健制度を構築していった過程を検証した。さらに、同事業を通じて各地の衛生事業の平準化が促進されたことを指摘し、公衆衛生の制度化の国際的契機を論証した。