著者
物井 則幸 佐野 朋美
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.291-297, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
33

近年の多くの研究により,睡眠と全身健康が密接に関わっていることが明らかになっている。 本邦の睡眠問題に起因する社会的経済損失は,年15兆円と試算されており,睡眠を改善することの社会的意義は大きい。本稿では,睡眠の質を向上する機能性表示食品の開発経緯を,素材探索,見出した素材「清酒酵母GSP6」の睡眠の質向上機能・作用メカニズム解析を中心に報告する。加えて,睡眠を介した全身健康(睡眠ヘルスケア)研究の一環として睡眠の質向上による肌質の改善と疲労感の軽減についても紹介する。
著者
臼井 正哉 物井 則幸 中田 英夫 伊藤 尚 熊倉 鴻之助 笠井 久隆
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.185-188, 1999-09-25

マストパラン(MP)はクロム親和細胞に作用しカテコールアミン(CA)放出を引き起こすことが知られている。我々はすでに, MPのN末端領域がCA放出活性に大きく寄与していること, MPのN末端4残基フラグメント(INLK-NH_2;N-4)はそれ自身にはCA放出活性が認められないが, ニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)に選択的に作用して抑制効果を示し, その作用部位はAChと異なることを示唆した。今回我々は, 13種N-4アナローグを新規に合成しAChによるCA放出抑制効果を比較し, 以下のような結果を得た。(1)1-2位あるいは4位アミノ酸のロイシンあるいはアルギニン置換により抑制効果が増強された。(2)最も抑制効果の強かったアナローグであるLLLK-NH_2はN-4の約6倍の抑制効果を示した。これら新規ペプチドはnAChRの関与する疾患への治療薬としての応用が期待される。