著者
室津 恵三 本田 哲三 篁 一誠 狩野 力八郎 村上 恵一
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.683-689, 1993-12-01
被引用文献数
4 1

In cognitive-behavioral programs designed for chronic pain patients, Iittle is known about the mechanism of psychological changes which occur during therapy, though the idea that pain behaviors are decreased is widely accepted. We have conducted a three-week outpatient program for twenty-three musculoskeletal chronic pain patients. We compared pre- and post-treatment values of VAS (visual analogue scale). MMPI profiles, and SDS scores of all patients in order to investigate what happens from a psychological point of view. Responses to each item of the MMPI and SDS were also examined to distinguish whether they had changed after the program. We found that VAS values, MMPI F, Hs, D, Hy, Pd, Sc, MAS scores, and total SDS scores had decreased significantly, whereas MMPI Lb and As had not change. Patients significantly changed their answers to 12 items of the MMPI and 6 items of the SDS, mainly concerning somatic preoccupation and depressed mood. We conclude that a programmed reconditioning exercise alters the incapacitated body image and that the change of cognition of pain in chronic pain patients improves their depressive state. We suggest that this approach may amend the mental as well as the physical status of chronic pain patients though further research focused on detailed cognitive changes, and long-term follow-up of this program are needed.
著者
保坂 隆 大須賀 等 狩野 力八郎 藤井 明和
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.523-533, 1987-10-01
被引用文献数
1

子宮摘出術の精神的影響を検討するために43人の患者を対象として調査した。対象は手術前日に精神科的面接を受け心理テスト(CMI, YGテスト)が施行された。精神科的面接は中立性, 客観性を保つために著者らのうち2名の精神科医が同席して行われた。さらに, 婦人科的診察・術式・術後合併症などについて医師からどう説明されたか, また, 過去の喪失体験に対する反応や女性性, 月経, 月経停止に対する態度など, あらかじめ決められた質問が用意された semi-structured interview の形式をとった。さらに術後7日目にも特に喪失体験に対する急性反応に焦点をあてた精神科的面接が施行された。また, 約2年後に術後の影響を調べるために心理テストと, 特別に作成された調査用紙が郵送された。回答が得られすべての項目に関するデータが揃ったのは35人(81.4%)で, 以後はこの35人について検討された。1人の離婚女性と2人の未婚女性を除けばすべて既婚者で出産経験者であった。過去に神経症的傾向のある2人は術後一時的に症状増悪がみられたが, 両者とも既婚者で2人以上の子供がいた。さらに両者とも婦人科的診断は良性の子宮筋腫であった。また, 附属器切除を施行した52歳の主婦ではエストロゲン欠乏によると思われる灼熱感がみれらた。さらに一時的に腰痛を自覚した患者も4名いた。一般に, 子宮摘出術後に病的な精神科的反応を惹起する危険因子は, (1)若年女性であること, (2)精神科既往歴があること, (3)家族歴に精神科疾患があること, (4)子供がいないか少なくて, 妊娠を希望していること, (5)夫婦関係が障害または破綻していること, (6)器質的疾患がないこと, (7)術前に不自然なまでに安定していること, などである。しかし, 本研究の結果は, 子宮摘出後には種々の精神症状がみられるという従来からの仮説を支持することはできなかった。その理由のひとつとして考えられるが, 本研究より驚くほど多くの患者が自分の受ける手術の術式や術後合併症について知らなかったり, また知ろうとしていないことが明らかになった。この「否認」という防衛機制が, わが国における子宮摘出術患者において術前の緊張や不安を軽減したり, 術後の精神科的合併症を回避するのに有効であるように思えた。