著者
浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 ASAKAWA Kazumi ODAGIRI Youichi YODA Junko NAKATA Hiroko GOTOU Shigemi KARINO Hidemi SAITOU Sumi アサカワ カズミ Asakawa Kazumi オダギリ ヨウイチ Odagiri Yoichi ヨダ ジュンコ Yoda Junko ナカタ ヒロコ Nakata Hiroko ゴトウ シゲミ Goto Shigemi カリノ ヒデミ Karino Hidemi サイトウ スミ Saito Sumi
出版者
山梨県立看護大学短期大学部
雑誌
紀要 = Bulletin of Yamanashi Junior College of Nursing (ISSN:13420097)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.41-48, 2004-03-01

【目的】易感染者が増加している在宅ケアにおいては、訪問看護師が感染媒体とならないような感染対策が必要であるが、訪問看護師が実際に行っている一連のケア内容と感染媒体としてのリスクの関係を実証的に検証した研究は僅少である。本研究では、訪問看護師のケア内容と感染予防行為における、看護師の身体部位ならびに伝播媒体となりうる物品等について、細菌学的汚染の状況を調査し、在宅看護における感染予防対策の有効性について検討した。【方法】平成14年5月から平成15年2月に、Y訪問看護ステーションの訪問看護師の訪問時に、訪問看護師の手指、手首、全胸部、足底、マンシェットの各部位の細菌を採取した。調査時は研究者が同行し、訪問看護師の実施したケア内容と感染予防行為を時系列に記述し、ケア前と後(最終手洗いの直前)の付着細菌をスタンプ法にて採取し、菌数を測定した。細菌検査はペタンチェック20cm(栄研器材)を用いて、一般細菌およびブドウ球菌の菌数を測定した。【倫理的配慮】訪問対象には、訪問看護から事前に、文書を用いて、研究の目的や方法、拒絶しても不利益が生じないこと等を説明し、同意が得られた事例宅において、調査を行った。データは個人が特定されないような配慮を施すとともに研究者による管理を保証した。【結果及び考察】延べ30事例の訪問時の看護ケアについての実態調査と細菌検査を行った。ケア内容は、生体物質への直接接触を含むケア(High Risk Care:HRC)と含まないケア(Low Risk Care;LRC) に分類された。訪問看護師の感染予防対策の主なものは、(1)石けんと流水による手洗い(2)持参した手拭きの使用(3)HRC時(ケア毎)の手袋の着用、等であった。手首においては、ケア数が多いほど、汚染が高く、排泄ケアや陰部ケアを含む場合に、とくに高くなる傾向が認められたが、ケースを越えた汚染と考えられた例は少数例にとどまった。マンシェットは、一部でケースを越えての細菌汚染の蓄積効果も認められた。本研究の結果より、訪問看護師による療養者間の細菌伝播の可能性は低いと推測され、現状の訪問看護師の感染予防行為が有効に機能していることが確かめられた。