著者
瀬戸 清華 佐賀 香奈美 中田 弘子
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.41-49, 2022-03

本研究の目的は,教育施設内の対面授業学年数別,高頻度接触面の汚染度実態と,次亜塩素酸水を使用した接触面の拭き取りの影響をATP 拭き取り検査法により明らかにすることである.実態調査の結果は,1・2学年対面授業日での施設内18 箇所の平均汚染度には有意な差はみられなかった.汚染度の高い箇所は,施設出入口の引戸の取っ手,講義室内のクレセント・照明スイッチ,トイレの内鍵などであった.汚染面の拭き取りでは,アルコール,次亜塩素酸水,水道水を用いた結果,3条件の拭き取り前後にはいずれも有意な汚染度の低下がみられた.拭き取り後の条件間の直接比較では,アルコールは次亜塩素酸水と水道水に比べて有意に低下し,次亜塩素酸水と水道水には有意な差はみられなかった.アルコールの入手の困難時では,次亜塩素酸水,水道水を用いた接触面の細菌を含めた有機物の除去の効果には差がみられないことが示唆された.
著者
中田 弘子 三輪 早苗 田淵 知世 小林 宏光
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.9-16, 2018 (Released:2018-04-20)

This study aimed to use near infrared spectroscopy to demonstrate the effect of hand massages on cerebral activity. The subjects were 16 healthy female students between the ages of 18 and 40. All subjects were given 10-minute hand massages, primarily effleurage. During these sessions, prefrontal cortex oxy-hemoglobin concentrations (oxy-Hb) were continuously monitored and the results were compared with those of the control condition. Significantly lower oxy-Hb concentrations were recorded during the first five minutes of the massage session than that of the control condition. This suggests the possibility that a hand massage of about five minutes could be a patient care method that calms the activity of the prefrontal cortex and obtains a subjective relaxation effect.
著者
石井 和美 中田 弘子 小林 宏光 川島 和代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.17-25, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
14

本研究の目的は, ディスポーザブルタオル (以下, ディスポタオル) を用いた部分清拭が高齢者の皮膚に与える影響を明らかにすることである. 地域在住の65~74歳の高齢者27名を対象に, ディスポタオルと綿タオルを用いて左右の前腕の清拭を実施し, 清拭前後の清浄度, 水分量, pH, 皮膚温を測定した. これらの客観的測定に加えて, タオルの使用感について清拭後に主観的に評価を行った. 結果はディスポタオルによる清拭後の皮膚清浄度は綿タオルと同等で弱酸性を保持していた. ディスポタオルの清拭後15分までの皮膚水分量は高く (P<0.01) , 一方で, ディスポタオルの方が清拭後の皮膚温の低下が大きかった (P<0.01) . 主観的評価ではディスポタオルの「やわらかさ」と「肌触り」に差がみられた (P<0.05) . これらの結果からディスポタオルの清拭においても拭き取り後の気化による熱損失が大きいため, 皮膚上の水分を十分に拭き取る必要があることが示唆された.
著者
小林 宏光 津幡 美江 大泉 直子 表 絵美 林 悠佳 森下 道子 中田 弘子 川島 和代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_131-1_136, 2009-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
15

橈骨動脈の触診によって得られた脈拍数の正確さについて検討した。脈拍数の測定時間は10, 15, 30 および 60秒間であった。被験者は看護学専攻の学部学生25名と臨床経験3年以上の看護師22名,計47名であった。各測定時間における脈拍数は重複する60秒間に測定された心電図より得た心拍数と比較され,その差を測定誤差とした。学生群では,どの測定時間でも実際よりも少なめに脈を数える傾向がみられた。看護師群ではこのような誤差の偏りはみられなかった。各測定時間での測定誤差の平均は,学生群で4.26(10秒), 2.46(15秒), 1.36(30秒), 1.42(60秒)であった。看護師群では2.86(10秒),2.44(15秒),0.97(30秒),0.82(60秒)であった。全体的に看護師群の方が学生群よりも誤差が小さい傾向がみられたが,両群の差は統計的有意とはならなかった。どちらの群でも30秒測定と60秒測定の間には有意差はなく,この結果から30秒測定の有効性が示唆された。
著者
浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 浅川 和美 小田切 陽一 依田 純子 中田 弘子 後藤 茂美 狩野 英美 斉藤 寿美 ASAKAWA Kazumi ODAGIRI Youichi YODA Junko NAKATA Hiroko GOTOU Shigemi KARINO Hidemi SAITOU Sumi アサカワ カズミ Asakawa Kazumi オダギリ ヨウイチ Odagiri Yoichi ヨダ ジュンコ Yoda Junko ナカタ ヒロコ Nakata Hiroko ゴトウ シゲミ Goto Shigemi カリノ ヒデミ Karino Hidemi サイトウ スミ Saito Sumi
出版者
山梨県立看護大学短期大学部
雑誌
紀要 = Bulletin of Yamanashi Junior College of Nursing (ISSN:13420097)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.41-48, 2004-03-01

【目的】易感染者が増加している在宅ケアにおいては、訪問看護師が感染媒体とならないような感染対策が必要であるが、訪問看護師が実際に行っている一連のケア内容と感染媒体としてのリスクの関係を実証的に検証した研究は僅少である。本研究では、訪問看護師のケア内容と感染予防行為における、看護師の身体部位ならびに伝播媒体となりうる物品等について、細菌学的汚染の状況を調査し、在宅看護における感染予防対策の有効性について検討した。【方法】平成14年5月から平成15年2月に、Y訪問看護ステーションの訪問看護師の訪問時に、訪問看護師の手指、手首、全胸部、足底、マンシェットの各部位の細菌を採取した。調査時は研究者が同行し、訪問看護師の実施したケア内容と感染予防行為を時系列に記述し、ケア前と後(最終手洗いの直前)の付着細菌をスタンプ法にて採取し、菌数を測定した。細菌検査はペタンチェック20cm(栄研器材)を用いて、一般細菌およびブドウ球菌の菌数を測定した。【倫理的配慮】訪問対象には、訪問看護から事前に、文書を用いて、研究の目的や方法、拒絶しても不利益が生じないこと等を説明し、同意が得られた事例宅において、調査を行った。データは個人が特定されないような配慮を施すとともに研究者による管理を保証した。【結果及び考察】延べ30事例の訪問時の看護ケアについての実態調査と細菌検査を行った。ケア内容は、生体物質への直接接触を含むケア(High Risk Care:HRC)と含まないケア(Low Risk Care;LRC) に分類された。訪問看護師の感染予防対策の主なものは、(1)石けんと流水による手洗い(2)持参した手拭きの使用(3)HRC時(ケア毎)の手袋の着用、等であった。手首においては、ケア数が多いほど、汚染が高く、排泄ケアや陰部ケアを含む場合に、とくに高くなる傾向が認められたが、ケースを越えた汚染と考えられた例は少数例にとどまった。マンシェットは、一部でケースを越えての細菌汚染の蓄積効果も認められた。本研究の結果より、訪問看護師による療養者間の細菌伝播の可能性は低いと推測され、現状の訪問看護師の感染予防行為が有効に機能していることが確かめられた。
著者
中田 弘子 軸屋 智昭 大坂 基男 三井 利夫
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.350-352, 2002-09-15 (Released:2009-08-21)
参考文献数
5
被引用文献数
2

患者は72歳男性.腰痛で発症.CTにて動脈硬化性腹部大動脈瘤にStanford B型急性大動脈解離が合併したものと診断された.腹部大動脈瘤は腎動脈下に存在し,動脈解離は左鎖骨下動脈起始部直下から右総腸骨動脈に及び,腹部分枝はすべて偽腔から分岐していた.胸部最大径4.8cm,腹部最大径6.5cmであった.多発腎梗塞を認め右腎は無機能であった.まず腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を発症3ヵ月で施行した.瘤壁は動脈硬化が強く解離の及んだ部位は脆弱で腰動脈からの出血のコントロールに難渋,バイタルサインの維持が困難となり,中枢側および末梢側を閉鎖し右腋窩-両大腿動脈バイパス術に術式変更となった.今回われわれは,大動脈解離が腹部大動脈瘤を越えて進展したまれな1例を経験したので報告した.