著者
太田 祐子 Yuko Ota 独立行政法大森林総合研究所 Forestry and Forest Products Research Institute
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.3-10, 2006-03-31

ナラタケ属菌は亜寒帯から亜熱帯にいたる世界中の森林に広く分布する菌であり,広葉樹および針葉樹に重大な根株腐朽病害をおこす病原菌を含むことが知られている.最近広く用いられるようになった分子生物学的手法によって,ナラタケ属菌の種間の系統関係や生態学的研究に新たな知見が得られた.本稿では,ナラタケ属菌の分類,系統関係,生態およびならたけ病の防除について概説する.また防除に関する話題として,近年緑地などでマルチ用資材として利用されている木材チップとナラタケ属菌について最近の研究を紹介する.