著者
猪爪 範子
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.97-102, 1993
被引用文献数
1 2

大分県湯布院町は1960年代の九州横断道路開設を契機に, ひなびた寒村から著名な温泉リゾートへと劇的に発展したが, 際立った魅力の中心は, その優れた農村らしい景観にある。この景観は, その時々の景観をめぐる争点に対する対処を通して次第に形成されるものであり, 人為的な行為の結果である。本研究は, 60年代から現在に至る間, 当町で発生した景観をめぐる出来事を各種資料を収集分析することを通して, その争点が自然景観から産業景観へ, そして生活景観へと移行してきたプロセスを実証するとともに, それから生み出された施策や活動が時代の価値観や社会的状況を如実に反映したものであることを明らかにする。
著者
猪爪 範子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.367-372, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
被引用文献数
3

別府市に連なる湯布院町は, 昭和39年の九州横断道路開通を契機にして, 山間の邸びた湯治湯から, 新しい温泉観光地へと飛躍的な展開をとげる. 現在は, 来訪する観光客が年間に300万人を超える有名観光地となったが, もう一方では住民主導型の内発的地域開発によるまちづくり観光地としても希有の集積を果たした.このような状況にある湯布院町の観光地形成の経過を辿り, その課題となるところを明らかにすることによって, 地域に根差した息の長い観光地のあり方を提示する.