著者
猪股 ときわ
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.19-28, 1994

『琴歌譜』は古代の歌が「いかに歌われたか」の「実態」を知る資料として注目されてきた。だが琴歌の技術の当事者にとって、「書く」ことは、身体を駆使する琴歌の技と同様に音楽の技術の範疇にある。本書は、「書く身体」と「歌う身体」の相関のうちに「いかに歌うべきか」という当事者にとってのものでしかない理想を作り出し、そのことによって「歌う歌」や「歌う身体」の始原的なありようから、決定的な飛躍をしてしまったのである。
著者
猪股 ときわ
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.2-11, 2009-06-10 (Released:2017-08-01)

「乞食者詠」の一首目は、一首の歌表現を通して人と動物、動物と植物の境界を溶解し、死を生へ、殺すことを殺されることへ、祝福されることをされることへと転換しながら、根源的な生のエネルギーの磁場を開こうとする。「はやし」の語に代表されるその表現の特徴は、祝福をすることが痛みを述べることである、とする『万葉集』巻一六の題詞・左注の捉え方に即応しているだろう。
著者
猪股 ときわ
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.2-11, 2009

「乞食者詠」の一首目は、一首の歌表現を通して人と動物、動物と植物の境界を溶解し、死を生へ、殺すことを殺されることへ、祝福されることをされることへと転換しながら、根源的な生のエネルギーの磁場を開こうとする。「はやし」の語に代表されるその表現の特徴は、祝福をすることが痛みを述べることである、とする『万葉集』巻一六の題詞・左注の捉え方に即応しているだろう。