著者
佐藤 浩一 猿山 恵未
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.66, 2008 (Released:2008-11-10)

3人一組の集団が協同想起を行う際に,集団としての話し合いの方略が及ぼす影響を検討した。促進教示群の集団には,曖昧な情報や部分的な再生であっても話し合いに持ち出すように,教示を与えた。抑制教示群の集団には,曖昧な情報や部分的な再生は他者を妨害するので発言しないように,教示を与えた。質問紙への評定ならびに発言の分析から,メンバーは各々の教示に従った話し合いを行っていたことが確認された。個人再生からの予測値と比較すると,促進教示群では協同再生が予測値よりも高い促進現象が見出された。これに対して抑制教示群では,協同再生が予測値よりも低い抑制現象が見出された。また成績に関わりなく,協同での再生は個々人での再生よりも肯定的に評価されることが多く,協同作業を現実以上に好ましく捉える"romance of teams"現象が見られた。