- 著者
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尾田 政臣
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.106, 2008 (Released:2008-11-10)
動物行動学では,繁殖のための相手選びに体の対称性が重要な役割を果たしていると主張している。顔の魅力についても同様の議論がなされている。本稿では,顔および顔以外の対象として幾何学図形,模様,動物,昆虫などを選び,魅力度ならびに美しさを評定させる心理実験を行った。実験は1課題につき4種類の図形を同時に提示し,各図形に対して絶対評価で評定させた。その結果,従来の実験結果と同様に,片目が大きく他の部位は対称である非対称顔が,総ての部位が対称である顔より魅力度・美しさが高い値を示した。また,いずれも左右対称である4種の幾何学図形に対しては,図形の種類によって評価値が異なり,動物や昆虫については,ある程度の非対称性があっても許容され高い評価値を示していた。即ち,対称性が常に魅力を決定する最大の要因となるわけではなく,また魅力と美しさの評価は必ずしも一致する訳ではないことが明らかになった。