- 著者
-
玄 順浩
阪口 玄二
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医学会
- 雑誌
- 日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.3, pp.582-586, 1989-06-15 (Released:2008-02-13)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
10
20
C型ボツリヌス菌芽胞(1羽当たり1×107個)を経口投与すると,食糞を可能にしたニワトリは発症,死亡したが,食糞を不可能にしたニワトリは発症しなかった.食糞可能群,不可能群とも,芽胞投与後数日間,盲腸糞にC1毒素の排泄がみられた.また,食糞可能群の発症鶏,無発症鶏とも,血中毒素が検出されたが,食糞不可能群からは検出されなかった.以上の結果から,ニワトリに経口投与されたC型ボツリヌス菌芽胞は,消化管(盲腸)内で発芽,増殖すると共に毒素を産生し,盲腸糞に一旦排泄されたのち,菌体と共に再摂取され,毒素(C1L毒素)は腺胃内で菌体と結合して安定化され,上部小腸から吸収され,ニワトリを発症させたと考えられる.このように,食糞は,ニワトリ・ボツリヌス症発病に重要な役割を果たすと考えられる.