著者
磯田 豊 村山 達朗 玉井 孝昭
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究ノート (ISSN:09143882)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.197-205, 1992-02-29

1989年7月28日から8月9日の13日間,山陰沖大陸棚上で流速計の係留観測とCTD及びADCPを用いた観測を行った.流速計は陸棚上の沿岸側と沖合い側,約45km離れた二ヵ所に設置された.この流速観則期間中,山陰沖海域一帯には台風接近に伴ってほぼ定常な北東風が連吹していたにもかかわらず,観測された流速や水温記録には5〜6日周期と2〜3日周期の二つの周期帯の変動が現れた.5〜6日周期の流速楕円は岸沖方向に設置された両観測点で逆位相・逆回転の変動,2〜3日周期の流速楕円は岸沖方向でほぼ同様な変動を示した.このような各周期変動の岸沖構造の違いは,第1モード(2〜3日周期)及び第2モード(5〜6日周期)の陸棚波が一様な風の強制によって同時に励起された可能性を示唆している.