著者
王 尚可 安本 雅典 許 経明
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.31-45, 2018-03-31

本研究では、後発企業が技術スピルオーバーによって、どのように知識を獲得し蓄積するのかを検討する。より具体的には、既存の有力な標準化の推進企業から後発企業への技術的リーダーシップの移転のプロセスを検討することによって、標準化にともなう技術のスピルオーバーにおいて、後発企業がいかに知識の獲得・強化できるのかを明らかにする。本研究では、技術仕様に関して宣言される必須特許(SEP:standard essential patent)と独自特許(Non-SEP)の分析を行った。その結果、補完的企業である、ある後発の半導体サプライヤーは、既存の有力な標準化の推進者からの必須特許の引用を通じて、システム知識を構築・強化し、それによって先発企業を圧倒してきたことが明らかとなった。この発見は、標準化の推進企業の知識マネジメントについての議論を拡張するとともに、実践的な示唆を提供すると期待される。