著者
石引 雄二 松村 勉 瓦井 美津江 福士 剛彦
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.638-642, 2007-05-20
被引用文献数
1

症例は79歳,男性. 2004年1月11日より全身倦怠感,発熱出現.既往歴はS状結腸癌.近医CTで左後腹膜腔に腫瘤あり.当院外科に紹介受診.腹部エコーは低エコーの腫瘤.CTは内部均一,軽度造影効果のある腫瘍. MRIはT1強調画像で高信号, T2強調画像で低信号から等信号であった.血管造影施行し,左腎上前区動脈を栄養動脈とする左後腹膜腫瘍の診断. 3月10日紹介で当科初診.後腹膜腫瘍の診断で, 3月22日左腎と共に腫瘍摘出術施行.摘出標本は大きさ21×18×7cm,重さ1,100gであった.病理組織診断はstoriform-pleomorphic typeの悪性線維性組織球腫.術後11ヵ月目のCTで左後腹膜腔再発を認め,放射線治療(45Gy)を施行した. 12月20日多発性肺転移及び多発性骨転移のため永眠された.本邦報告された腎周囲組織発生のMFHは10例と比較的稀であった.