著者
冨田 晶子 大竹 孝尚 生津 綾乃 橋田 和樹 大目 祐介 山下 茂樹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.423-426, 2017-07-15 (Released:2017-08-26)
参考文献数
5

70歳の男性.肝細胞癌に対して,全身麻酔および硬膜外麻酔下に腹腔鏡下肝拡大左葉切除術が施行された.術中,中肝静脈を損傷し圧迫止血操作を行った際に,一時的に収縮期血圧が60mmHgまで低下したが,血管縫合により血行動態は安定し手術を完遂した.手術終了前の体内異物遺残チェックでガーゼの枚数が不足したため胸腹部単純X線撮影を行い,左肺門部にガーゼと思われる線状陰影を認めた.この時点では肺塞栓を疑う症状は認めておらず,カテーテルによる肺動脈内異物除去を行う方針とした.迷入したガーゼは左肺動脈に達していたものの,重篤な転帰に至ることなく,血管内治療と鼠径部小切開手術で摘出し得た.