著者
戸田 真佐子 大久保 幸枝 生貝 初 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.561-566, 1990-03-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
49 61

茶タンニンの主要成分であるカテキン類のうち(-)エピガロカテキン(EGC),(-)エピカテキンガレート(ECg),(-)エピガロカテキンガレート(EGCg)はStaphylococcus aureusに抗菌活性を示した。また,Vibrio cholerae O1 classical InabaおよびEl Tor Inabaにも抗菌活性を示した。カテキン構造類似物質では,ピロガロール,タンニン酸,没食子酸の順で上記3菌種に対して抗菌活性を示したが,ルチン,カフェインには抗菌活性はほとんど認められなかつた。また,ECgは黄色ブドウ球菌α-毒素およびコレラ溶血毒の溶血活性を100%阻止した。また,EGCgは黄色ブドウ球菌α-毒素,コレラ溶血毒のほか,腸炎ビブリオ耐熱性溶血毒Vp-TDHの溶血活性をも100%阻止した。一方,タンニン酸はコレラ溶血毒の溶血活性を100%阻止した。これらの結果から,茶葉の抗菌活性および抗毒素作用にはカテキン類の関与が示唆された。