著者
岩田 雅史 戸田 眞佐子 中山 幹男 辻山 博之 遠藤 済 高橋 雄彦 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.487-494, 1997-06-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
9 11

紅茶エキスによるうがいが, インフルエンザを予防できるかどうかを検討した.実験は, 平成4年10月18日から平成5年3月17日までの5カ月間行なった.まず同一職域集団297人を2群に分け, 実験群151人は, 原則として8時と17時の2回, 1回約100ml程度の紅茶エキス (0.5W/V%) でうがいをした.対照群146人は, 特に何も行なわなかった.実験期間中にインフルエンザ症状を呈した者56人の咽頭ぬぐい液からウイルスを分離し抗原分析をした結果, A型ウイルスH3N2が2株およびB型ウイルス10株が分離された.感染の判定は, 実験開始時および終了時に採血を行い, A/Yamagata/120/86 (HIN1), A/Saitama/55/93 (H3N2), B/Saitama/5/93と赤血球凝集抑制反応を行ない, 抗体価が4倍以上上昇したものを感染とみなした.その結果, 感染者は実験群35.1%に対して対照群では48.8%で, 有意な差 (p<0.05) が認められた.この結果, 紅茶エキスによるうがいは, インフルエンザを阻止しうる可能性が示唆された.
著者
中山 幹男 戸田 眞佐子 大久保 幸枝 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.824-829, 1994-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
21
被引用文献数
4 2

マウスのインフルエンザウイルス感染実験系を用いて, 紅茶エキスによるインフルエンザウイルスの感染性の阻止を検討した.ウイルス懸濁液のみを鼻腔内に吸入させたマウス群は, 体重減少をおこし10日以内に100%が死亡したが, ウイルス懸濁液に2%(w/w) 紅茶エキスを混合し5分後に吸入させたマウス群では, 正常マウス群と同等の体重増加を示し, すべてのマウスが生残した.生残マウスのインフルエンザウイルスに対する血中抗体価を調べたところ, 10匹中9匹は抗体陰性であった.この実験結果から, 日常飲用している紅茶エキス濃度 (約2~3%) で, 105.3PFU/マウス (101, 3LD50) の高濃度のインフルエンザウイルスの感染性がほぼ100%阻止されることが明らかになった.以上の成績は, MDCK細胞を用いたin vitroの成績を支持するとともに, 紅茶エキスで処理されたウイルスの感染性が生体内で復帰しないことを示唆している.
著者
岩田 雅史 戸田 眞佐子 中山 幹男 辻山 博之 遠藤 済 高橋 雄彦 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.487-494, 1997
被引用文献数
11

紅茶エキスによるうがいが, インフルエンザを予防できるかどうかを検討した.実験は, 平成4年10月18日から平成5年3月17日までの5カ月間行なった.まず同一職域集団297人を2群に分け, 実験群151人は, 原則として8時と17時の2回, 1回約100ml程度の紅茶エキス (0.5W/V%) でうがいをした.対照群146人は, 特に何も行なわなかった.実験期間中にインフルエンザ症状を呈した者56人の咽頭ぬぐい液からウイルスを分離し抗原分析をした結果, A型ウイルスH3N2が2株およびB型ウイルス10株が分離された.感染の判定は, 実験開始時および終了時に採血を行い, A/Yamagata/120/86 (HIN1), A/Saitama/55/93 (H3N2), B/Saitama/5/93と赤血球凝集抑制反応を行ない, 抗体価が4倍以上上昇したものを感染とみなした.<BR>その結果, 感染者は実験群35.1%に対して対照群では48.8%で, 有意な差 (p<0.05) が認められた.この結果, 紅茶エキスによるうがいは, インフルエンザを阻止しうる可能性が示唆された.
著者
島村 忠勝
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.58-69, 2010-02-28 (Released:2011-05-27)
被引用文献数
1
著者
戸田 真佐子 大久保 幸枝 生貝 初 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.561-566, 1990-03-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
49 61

茶タンニンの主要成分であるカテキン類のうち(-)エピガロカテキン(EGC),(-)エピカテキンガレート(ECg),(-)エピガロカテキンガレート(EGCg)はStaphylococcus aureusに抗菌活性を示した。また,Vibrio cholerae O1 classical InabaおよびEl Tor Inabaにも抗菌活性を示した。カテキン構造類似物質では,ピロガロール,タンニン酸,没食子酸の順で上記3菌種に対して抗菌活性を示したが,ルチン,カフェインには抗菌活性はほとんど認められなかつた。また,ECgは黄色ブドウ球菌α-毒素およびコレラ溶血毒の溶血活性を100%阻止した。また,EGCgは黄色ブドウ球菌α-毒素,コレラ溶血毒のほか,腸炎ビブリオ耐熱性溶血毒Vp-TDHの溶血活性をも100%阻止した。一方,タンニン酸はコレラ溶血毒の溶血活性を100%阻止した。これらの結果から,茶葉の抗菌活性および抗毒素作用にはカテキン類の関与が示唆された。
著者
大久保 幸枝 戸田 真佐子 原 征彦 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.509-514, 1991-03-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
41 48

茶および茶から精製した(-)エピガロカテキンガレート(EGCg),テアフラビンジガレート(TF3)の白癬菌および酵母様真菌に対する抗菌・殺菌作用を検討した。茶エキス1.25%でTrichophyton mentagrophytesおよびT.rubrumの発育が阻止された。一方,EGCg 2.5mg/mlでは両菌の発育は阻止されなかった。しかし,TF3 0.5mg/mlでは両菌とも発育が阻止された。茶エキスの殺菌作用は濃度,接触時間に依存し,高濃度(5∼10%)で長時間(48∼72h)作用させると両菌に対して殺菌効果が認められた。EGCg 1mg/mlはTrichophytonに対して殺菌作用を示さないのに対してTF3 1mg/mlの場合,接触時間を長くすると殺菌効果が認められた。Candida albicansは茶エキス10%でも発育阻止はみられなかったが,Cryptococcus neoformansは茶エキス10%で菌数を減少させると抗菌作用が認められた。茶エキスはC.albicans, C. neoformansに対して72時間接触でも殺菌作用は示さなかった。
著者
戸田 真佐子 大久保 幸枝 大西 玲子 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.669-672, 1989-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
5
被引用文献数
55 53

We found that extracts of Japanese green tea leaves inhibited the growth of various bacteria causing diarrheal diseases. All tea samples tested showed antibacterial activity against Staphylococcus aureus, S. epidermidis, Vibrio cholerae O1, V. cholerae non O1. V. parahaemolyticus, V. mimicus, Campylobacter jejuni and Plesiomonas shigelloides. None of the tea samples had any effect on the growth of V. fluvialis, Aeromonas sobria, A. hydrophila, Pseudomonas aeruginosa, Salmonella enteritidis, enteroinvasive Escherichia coli, enterohemorrhagic E. coli, enteropathogenic E. coli, enterotoxigenic E. coli, Enterobacter cloacae or Yersinia enterocolitica. Salmonella and Shigella showed susceptibilities different depending on the kind of Japanese green tea. Japanese green tea showed also bactericidal activity over S. aureus, V. parahaemolyticus and even enteropathogenic E. coli which was not sensitive when tested by cup method. The bactericidal activity was shown even at the drinking concentration in daily life.
著者
島村 忠勝 胡 志青 大久保 幸枝 趙 維華 柳川 容子 山口 晃史
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

カテキンの抗微生物活性のメカニズムおよびカテキンの抗微生物薬との併用効果について研究を行った。1.エピガロカテキンガレート(EGCg)は細菌細胞膜や細胞壁傷害作用および細胞壁合成阻害作用を有し、β-ラクタム剤と併用すると、MRSAに対するβ-ラクタム剤の抗菌活性を復活させ、強い相乗効果が発現した。タンパク合成阻害剤、核酸合成阻害剤との併用では相乗効果は見られず、ペプチド系抗生物質では拮抗作用が見られた。この拮抗作用はEGCgとペプチドの結合によると考えられた。また、EGCgはβ-ラクタマーゼ活性を直接阻害することができ、β-ラクタマーゼ産生黄色ブドウ球菌およびMRSAに対して、EGCgとβ-ラクタム剤の併用は相乗効果を発揮した。β-ラクタマーゼが分泌されないグラム陰性桿菌に対して、効果は弱かった。2.ヘリコバクター・ピロリに対しては、EGCg単独で殺菌作用を示した。クラリスロマイシン高度耐性株に対してEGCgとクラリスロマイシンまたはプロトンポンプ阻害剤を併用すると相加効果が見られた。3.細胞内寄生菌サルモネラに関しては、EGCgはサルモネラ食食マウスマクロファージの細胞内殺菌能を亢進した。EGCg投与マウスのマクロファージはサルモネラ貧食能と細胞内殺菌能がともに増強した。4.HIVに関しては、HIVの細胞への吸着後から宿主細胞遺伝子への挿入までの過程においてEGCgの阻害作用が見られ、逆転写酵素やプロテアーゼの阻害が示唆された。また、EGCgは持続感染細胞からのHIV粒子の産生を抑制した。この抑制効果はリボソームに包埋したEGCgやLPSを併用すると増強した。しかし、このEGCgの効果は単球細胞系で特異的におこり、リンパ球では見られなかった。また、EGCgとAZTを併用すると弱いながら相乗効果が見られた。
著者
山口 晃史 島村 忠勝
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.173-178, 2001-02-15

はじめに 重症感染症ならびに慢性化した感染症に対し抗生剤の多剤連用を強いられる場面に遭遇することはしばしば経験するものである.多くの場合,耐性菌に対する医師の意識の向上により十分なモニタリングのもとに適切な抗生剤の選択,投与,中止が行われているが,一部では不適切な選択,無計画な投与期間によって薬剤耐性菌が出現し病棟内に蔓延している場合も少なくない.薬剤耐性菌の存在が治療を困難にしているのは,呼吸器感染症においても例外ではなく,特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylp—coccus aureus:MRSA),ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin resistant Streptococcus pneumoniae:PRSP)や薬剤抵抗性緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)による感染症は難治性となる場合が多い. 最近話題の植物由来生体機能物質であるフラボノイドの一種である茶カテキンが,これらの薬剤耐性菌をも殺菌することが明らかにされている.われわれは,このカテキンの殺菌活性を臨床応用し,MRSA呼吸器感染症に対し除菌を目的としてのカテキン吸入療法を提唱している1).本稿では,カテキンの抗菌活性とそのメカニズムならびに,難治性呼吸器感染症であるMRSA呼吸器感染症に対するカテキン吸入療法の実際とその可能性について述べてみたい.
著者
堀内 善信 戸田 眞佐子 大久保 幸枝 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.599-605, 1992-05-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
7 8

茶およびカテキンの百日咳に対する感染防御の可能性を, 百日咳菌に対する殺菌活性, 菌の培養細胞への付着に対する抑制作用および百日咳毒素のリンパ球増多 (Lymphocytosis promoting, LP) 活性に対する不活化作用を指標として検討した.殺菌活性については, いずれも濃度依存的であり, 緑茶, 紅茶およびコーヒーは, それぞれ常用飲用濃度 (5%) で, 百日咳菌に対して強い殺菌活性を示した.プアール茶も比較的弱いながら殺菌活性を示した. (-) エピガロカテキンガレート (EGCg) およびテアフラビンジガレート (TF3) の殺菌活性は強く, 1mg/mlで24時間以内に百日咳菌を完全に殺菌した.HeLa細胞およびCHO細胞への百日咳菌の付着能に対する抑制作用を検討したところ, EGCgやTF3は全く抑制を示さなかった.これに対し, 緑茶および紅茶は, 培養細胞への菌の付着を強く抑制した.百日咳毒素のLP活性不活化作用は, 細胞への百日咳菌の付着抑制とは逆で, 1%で緑茶が全く作用を示さず, また紅茶でもわずかな不活化作用しか示さなかった.一方, EGCgおよびTF3は100μg/mlで強い不活化作用を示し, なかでもTF3の不活化作用は顕著であった.以上の結果から茶, EGCgおよびTF3には百日咳防御に関して, 興味ある活性のあることが示された.
著者
戸田 真佐子 大久保 幸枝 原 征彦 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.839-845, 1991-09-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
37 56

茶エキス,緑茶から分離精製した(-)エピガロカテキンガレート(EGCg)および紅茶から分離精製したテアフラビンジガレート(TF3)はmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA)に対して抗菌力を示した。また,これらは食中毒材料から分離したすべてのS. aureusにも抗菌力を示した。紅茶エキスはS. aureus標準株およびMRSAに対してほぼ同程度に殺菌力を示したが,EGCgのMRSAに対する殺菌効果は標準株に対するそれよりもやや強かった。MRSAは紅茶エキスやEGCgに対して食中毒材料からのS. aureus分離株よりもより感受性であった。
著者
戸田 真佐子 大久保 幸枝 大西 玲子 島村 忠勝
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.669-672, 1989
被引用文献数
15 53

We found that extracts of Japanese green tea leaves inhibited the growth of various bacteria causing diarrheal diseases. All tea samples tested showed antibacterial activity against <i>Staphylococcus aureus, S. epidermidis, Vibrio cholerae</i> O1, <i>V. cholerae</i> non O1. <i>V. parahaemolyticus, V. mimicus, Campylobacter jejuni</i> and <i>Plesiomonas shigelloides</i>. None of the tea samples had any effect on the growth of <i>V. fluvialis, Aeromonas sobria, A. hydrophila, Pseudomonas aeruginosa, Salmonella enteritidis, enteroinvasive Escherichia coli</i>, enterohemorrhagic <i>E. coli</i>, enteropathogenic <i>E. coli</i>, enterotoxigenic <i>E. coli, Enterobacter cloacae</i> or <i>Yersinia enterocolitica. Salmonella</i> and <i>Shigella</i> showed susceptibilities different depending on the kind of Japanese green tea. Japanese green tea showed also bactericidal activity over <i>S. aureus</i>, <i>V. parahaemolyticus</i> and even enteropathogenic <i>E. coli</i> which was not sensitive when tested by cup method. The bactericidal activity was shown even at the drinking concentration in daily life.
著者
島村 忠勝
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, 2004-02-01
著者
帖佐 浩 戸田 眞佐子 大久保 幸枝 原 征彦 島村 忠勝
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.606-611, 1992
被引用文献数
17

<I>mycoplasma</I>に対する茶エキスおよびカテキンの抗菌・殺菌作用を検討した.緑茶エキスおよび紅茶エキスは<I>Mycoplasma pneumoniae</I>に対して, 抗菌作用を示した.緑茶エキスおよび紅茶エキスは<I>M.pneumoniae</I>と<I>M. orale</I>に対して顕著な殺菌作用を示した.2%紅茶エキスは<I>M. salioarium</I>に対しても殺菌作用を示したが, 緑茶エキスの<I>M. salivarium</I>に対する殺菌作用は弱かった.プアール茶エキスの三菌種に対する殺菌作用は弱かった.緑茶から精製した (-) エピガロカテキンガレート (EGCg) および紅茶から精製したテアフラビンジガレート (TF3) は三菌種に対して殺菌作用を示し, <I>M. pneumoniae</I>に対しては特に強い殺菌作用を示した.以上の結果, 茶およびカテキンは殺マイコプラズマ作用を有することが明らかになった.