著者
牛村 秀夫 松戸 裕子 田中 ゆり子 筒井 健機
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.76-83, 1995-03-28
被引用文献数
3

歯周疾患用軟膏剤の適用局所における為害作用を推測する目的で,これらの軟膏剤をヒト歯肉由来培養ケラチノサイトに作用させ,その細胞毒性をニュートラルレッド・アッセイ法で定量的に調べた。歯周ポケット注入用軟膏剤の細胞毒性は,ヒノポロン^[○!R]≫テトラ・コーチゾン軟膏^[○!R] >ペリオクリン歯科用軟膏^[○!R]≒テラ・コートリル^[○!R]軟膏であり,ヒノポロンの細胞毒性は,テトラ・コーチゾン軟膏の約1,100倍,ペリオタリン歯科用軟膏やテラ・コートリル軟膏の少なくとも1,300倍強かった。また,塗布用軟膏剤の細胞毒性は,デキサルテン軟膏(口腔用)^[○!R]>デスパコーワ^[○!R]>テトラサイクリン・プレステロン歯科用軟膏^[○!R]≒プレステロン^[○!R]「歯科用軟膏」≒口腔用ケナログ^[○!R]≒歯科用(口腔用)アフタゾロン^[○!R]であった。デキサルテン軟膏(口腔用)およびデスパコーワの細胞毒性は,他の塗布用軟膏剤より少なくとも3倍以上強かった。このように各種歯周疾患用軟膏剤のヒト歯肉由来培養ケラチノサイトに対する毒性がランク付けされ,その強弱が量的に比較できるようになった。これらの結果は,歯肉に対してより為害作用の少ない軟膏剤の選択や適用方法を考慮したり,新規製剤の毒性を評価する際,役立つものと思われる。