著者
田中 伸三 原 利男
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告
巻号頁・発行日
vol.1971, no.35, pp.84-87, 1971

茶の褐変に伴うクロロフィルの変化を調べるために,DIETRICHらの提案したクロロフィルのフェオフィチンへの変化の測定法を,茶に応用する場合の操作と計算式の検討を行なった。<BR>操作および計算式は,煎茶粉末0.3gに10%含水アセトン40mlを加え3~5時間抽出し,その上澄液の534mμおよび556mμにおける吸光度を求め,次式によってフェオフィチンへの変化率を算出.する。<BR>フェオフィチンへの変化率=R<SUB>X</SUB>-R<SUB>0</SUB>/R<SUB>100</SUB>-R<SUB>0</SUB>×100<BR>ただし<BR>R<SUB>0</SUB>:0%フェオフィチン溶液における吸光度の比(OD 534mμ/OD 556mμ)<BR>R<SUB>100</SUB>:100%フェオフィチン溶液における吸光度の比(OD 534mμ/OD 556mμ)<BR>R<SUB>X</SUB>:未知試料抽出液における吸光度の比<BR>(OD 534mμ/OD 556mμ)<BR>著者らが茶に応用した場合の計算式は次のとおりであった。<BR>フェオフィチンへの変化率=R<SUB>X</SUB>-0.96/1.29×100<BR>ただし,この計算式は分光光度計によって異なるから,それぞれの装置で確認する必要がある。<BR>この方法によって求めたフェオフィチンへの変化率と,TANらの方法に準じてカラムクロマトグラフィーで分別し,比色法で求めた変化率とが比較的よく一致することも認めた。