著者
田中 侑希 田中 美栄子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MPS-88, no.14, pp.1-6, 2012-05-10

人が生成した乱数列のことを人間乱数と呼び,被験者の体調や生成方法によって数列の特徴が変化することが知られている.人間乱数を個人で識別するためには乱数列に個人の癖(特徴)が反映される生成方法を考える必要がある.本研究では乱数列に個人の癖が反映される生成方法として,乱数生成時の思考度合が異なる2種類のデータを採取し比較を行うことで両者の特徴を捉えることを目的とした.採取したデータを用いて様々な指標を計算した結果,直感的に生成した場合と熟考して生成した場合とで明確に差が現れず,どちらもある程度個人の癖が反映されることがわかった.そこで8種類の特徴量となる指標を用いてSOMによる個人分類実験を行ったところ,熟考データに比べて直感データの方が個人を分類する上で,より適していると思われる結果となった.また,特徴量のうち,データ採取時の被験者の行動パターンを反映するものが重要であったことから,データ列の解析だけでなく被験者の行動を指標として取り入れることによって個人分類の可能性が高まることがわかった.