著者
伊庭 幸人 田中 美栄子 平岡 千佳 可児 美佳子
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05272997)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.914-924, 1996-08-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
田中 美栄子
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.79-82, 2013 (Released:2016-02-17)
参考文献数
14

Econophysics and its related topics are overviewed from the historical and conceptual point of view. Unlike many other unsuccessful trials, the recent trend of econophysics that began at the dawn of the 21st century seems to be doing much better than expected. With the help of rapid progress of computational tools, econophysics seems finishing its first stage successfully and preparing the second stage as a part of “big data science.”
著者
糸井 良太 田中 美栄子
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.31-37, 2013-03-12

戦略の自動進化を取り入れた繰返し囚人のジレンマモデルにおいて,特に2進表現による1次元遺伝子配列の複写変異や分離変異を点変異と組み合わせることで遺伝子の長大化の効果を考察することを目的としたLindgrenモデルがあり,その結果として生き残りやすい戦略に共通した特徴のあることが指摘された.我々はこのモデルに依拠して長大な遺伝子配列が出現するまでシミュレーションを行った結果をもとに,長期間生存する遺伝子の配列パターンに共通する性質,遺伝子長32以下の範囲内で,長寿戦略の約60%が[1001 0*0* 0*0* 0001]という形の遺伝子に対応することを突き止め,さらにこの形の遺伝子の性質が1.自分から裏切らない(最右遺伝子が1=協力),2.裏切られたらすぐに報復する(4つ組の第3要素が0=裏切り),3.裏切りが続くと自分から協力行動を行う(最左遺伝子が1=協力)の3要素であることを見出した.このことは,Lindgrenの先行研究で報告されている[1**1 0*** 0*** *001]の遺伝子配列に比べて,より明確に長寿戦略の遺伝子構造を同定することができたといえる.これらの戦略は単純なしっぺ返し戦略より強く,多様な戦略との対戦に勝利した結果,長期間生存し続けることのできるロバストな戦略であるといえる.このような戦略の出現・生存に対する条件について考察する.
著者
田中 侑希 田中 美栄子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MPS-88, no.14, pp.1-6, 2012-05-10

人が生成した乱数列のことを人間乱数と呼び,被験者の体調や生成方法によって数列の特徴が変化することが知られている.人間乱数を個人で識別するためには乱数列に個人の癖(特徴)が反映される生成方法を考える必要がある.本研究では乱数列に個人の癖が反映される生成方法として,乱数生成時の思考度合が異なる2種類のデータを採取し比較を行うことで両者の特徴を捉えることを目的とした.採取したデータを用いて様々な指標を計算した結果,直感的に生成した場合と熟考して生成した場合とで明確に差が現れず,どちらもある程度個人の癖が反映されることがわかった.そこで8種類の特徴量となる指標を用いてSOMによる個人分類実験を行ったところ,熟考データに比べて直感データの方が個人を分類する上で,より適していると思われる結果となった.また,特徴量のうち,データ採取時の被験者の行動パターンを反映するものが重要であったことから,データ列の解析だけでなく被験者の行動を指標として取り入れることによって個人分類の可能性が高まることがわかった.
著者
海蔵寺 大成 青山 秀明 田中 美栄子 藤坂 博一 増川 純一 小野崎 保 相馬 亘 高安 秀樹 生天目 章 藤原 義久
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究の課題である統計力学の視点から経済現象を分析しようとする試みは最近、経済物理学と呼ばれ始めている。経済物理学は急速に発展しつつある学際的分野であるが、始まったばかりの研究領域である。本研究の目的は経済データの統計分析を通して経験則を発見し、その観察事実を物理学者と経済学者がお互いの知識を持ち寄り、議論することでこれまでの学問的な枠にとらわれない新しい実証的経済科学を作ることである。この時期にこの分野で研究している研究者が共同して一つの課題に取り組みお互いの知識や考え方を共有する機会が与えられたことは、今後の経済物理学の発展にとって非常に重要な意味があったと考える。本研究における主要な研究対象は次の2つである。I.「資産市場におけるゆらぎ」、II.「企業・個人の所得のゆらぎおよび経済社会ネットワーク」である。すなわち、本研究の課題は経済のストックとフローおよびそれらの相互作用を統計物理学的視点から分析することである。この2つの課題は経済物理学において最も関心をもたれているテーマであると同時に、多くの未解決な問題を含む研究課題でもある。それぞれの研究課題において、まず、徹底したデータマイニングが行われ、多くの統計的法則が発見された。また、発見された経験則を説明する新しい経済理論が統計物理学の視点から構築された。本研究の成果は、多岐に亘っているが、今後、これらの成果を発展、統合してゆくことで、実証的な立場からマクロ経済現象を明らかにする極めて独創的な経済学を作り出すことができると期待している。
著者
三島 雅史 田中 美栄子
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG19(TOM19), pp.47-54, 2007-12-15

人間乱数を認知症の早期発見に利用するには,比較的短い数列から兆候をとらえる必要がある.相関次元やHMMを用いた従来法は長いデータ列を必要とし診断には不向きである.本研究では長さ50の短い乱数列を対象にして,診断に使えそうな指標を特定することを目的とした.認知症を加齢とともに進行する記憶力の低下が極端な形で現れたものと考え,年齢別にとったデータを用いて様々な指標を計算し,年齢による違いが確認できたものを有効な指標と判断した.これに加えて新たな指標(RP)を提案する.また採取方法による乱数の性質の違いについても考察する.
著者
田中 美栄子 Mieko TANAKA
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
非線形現象の数理
巻号頁・発行日
pp.51-58, 1997-03

田中美栄子[椙山女学園大学生活科学部生活社会科学科]
著者
田中 美栄子 元山 智弘 池原 雅章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.601, pp.13-18, 2004-01-19
被引用文献数
2

本稿では,進化的アルゴリズムによるエージェント・シミュレーションによって投資戦略を自動生成するプログラムを作成し,実際の金融データに適用して得た結果について報告する.ここでは投資戦略を,金融市場という刻々と変化する環境に適応しながら進化するエージェントとみなし,他のエージェントの活動結果によって生じる市場価格の動きを相手として様々な戦略を実行し,結果の可否に応じてその時点での環境(価格変動)に対して最適な戦略に進化してゆくものとした.まず,1ティック前の価格変化の符号の情報をもとに1ティック後の変動の符号を予測することから始め,合計7ティック程度まで参照する履歴を増やして行くと,3〜4ティック位までは予測率が次第に向上して約70%の予測率に達するが,5ティック位で飽和してしまいそれ以上は向上しないことがわかった.そこで直前の価格変動の符号のみの情報(「差分符号」とする)に加えて,現在の価格水準が過去の価格の平均に比べて高めなのか低めなのかという情報(「相対価格」とする)を加味して学習を行ったところ,予測率は特に向上せず「差分符号」のみの場合と同水準であった.一方「相対価格」のみの情報で学習を行った結果の予測率はやはり70%前後にとどまった.このように複数の情報を必要に応じて取り込むことのできるプログラムに知識ベースを与えてゆくことによって,より的中率の高い戦略の自動生成への土台ができたことになる.
著者
徳岡 聖二 田中 美栄子
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG19(TOM19), pp.68-74, 2007-12-15

株価の日中変動を記録したtickデータが研究資料として手に入るようになってまだ日が浅いが,日次変動とは異なる様相を示すことが様々な分野の研究者の興味を惹きつけ,精力的な数値解析が行われてきた結果,株価は完全なランダムウオークではなく,数分以下の短期価格変動には強い相関が存在することが明らかになってきた.このことは数分先の株価が上昇するか下降するかを科学的手法に依拠して予言できることを示唆している,そこで本論文では,過去の価格情報から抽出した様々な知識を活用しながらそのときどきの価格パターンに即した戦略的意思決定を自動生成するシステムを設計することを試みた.価格情報としては,時系列そのもののほかに,過去の平均価格や長期・短期移動平均との比較等,テクニカル分析において用いられる複数の指標を同時に利用しつつ,進化計算により過去の価格変動のパターンを学習することによって10-tick先,すなわち数秒から数分後の価格の上昇/下降を予測するシステムを作成し,それを用いて過去の実データにより予測を行った結果,IBM株で80%以上,8銘柄の平均で65%という予測的中率を得た.これにより,tick価格が少なくとも10-tick先までの記憶を有すること,および上記の方法により価格変動のトレンドを自動予測するシステムが機能することが実証された.
著者
徳岡 聖二 田中 美栄子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.19, pp.68-74, 2007-12-15

株価の日中変動を記録したtickデータが研究資料として手に入るようになってまだ日が浅いが,日次変動とは異なる様相を示すことが様々な分野の研究者の興味を惹きつけ,精力的な数値解析が行われてきた結果,株価は完全なランダムウオークではなく,数分以下の短期価格変動には強い相関が存在することが明らかになってきた.このことは数分先の株価が上昇するか下降するかを科学的手法に依拠して予言できることを示唆している,そこで本論文では,過去の価格情報から抽出した様々な知識を活用しながらそのときどきの価格パターンに即した戦略的意思決定を自動生成するシステムを設計することを試みた.価格情報としては,時系列そのもののほかに,過去の平均価格や長期・短期移動平均との比較等,テクニカル分析において用いられる複数の指標を同時に利用しつつ,進化計算により過去の価格変動のパターンを学習することによって10-tick先,すなわち数秒から数分後の価格の上昇/下降を予測するシステムを作成し,それを用いて過去の実データにより予測を行った結果,IBM株で80%以上,8銘柄の平均で65%という予測的中率を得た.これにより,tick価格が少なくとも10-tick先までの記憶を有すること,および上記の方法により価格変動のトレンドを自動予測するシステムが機能することが実証された.While tick-wise price data have become available for computer-aided analysis only recently, novel patterns observed in those new data have attracted much attention of researchers in wide range of expertise. The results of extensive numerical work have shown that the stock price fluctuations are not strictly the random walk, but are strongly correlated to the prices at other times. This fact implies predictability of future trends of price movement in high precision. In order to see this, we have constructed a computer program utilizing multiple technical indices, including moving averages, etc., implemented in the framework of evolutional computation. As a result, we have obtained a positive result having 80% of correct hitting rate for IBM, and 65% for the average over 8 different stocks in New York Stock Exchange Market in the year of 1993. The result strongly supports the existence of long-term memory to extend at least for 10-ticks, and the effectiveness of our prediction generator system.
著者
田中 美栄子 田伏 正佳
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では人工知能の基礎となるような複雑系科学に的を絞り、経済系、脳の解明に応用数学の経験と計算能力を投入することを目的とした。主テーマは経済情報物理学、人間乱数のHMMモデル、非侵襲的診断へのニューラルネットワーク応用、エージェントの協調、であるが、経済情報物理学の占める割合が特に大きかった。初年度は協力者田伏との共同研究で、次年度以降は代表者田中が単独で、学部学生9名の卒業研究テーマとしても用いながら行い、モデルと実データの解析から様々の新たな知見を得ることができた。後半には研究の重点を複雑系としての経済現象にしぼり、「経済物理学」と「人工市場」の二つ研究グループと接触を保ちながら、経済物理学はポジティブフィードバックによるマルチエージェント・シミュレーションから、パラメータ空間が二つの相に分かれその臨界点に対応する値でちょうど実際の高頻度金融データと同じ統計性を示すことを具体的な形で明らかにした。結果の前半は2001年4月発行のINFORMATION誌第4巻に、後半はEmpirical Science of Financial Fluctuations(Springer,2002)に掲載された。また、高頻度金融(TICK)データの性質を高速コンピュータ解析で扱い、スケール不変な統計性から乱流との類似、細かな動きの予測可能性、および多国間の為替の同時取引を仮想的に行った場合の裁定機会とその緩和時間について具体的な知見を多く得た。最後に複雑系経済学の国際的な研究センターの一つであるサンタフェ研究所を2月に訪問して意見交換を行った。人間乱数の研究は実データの時系列解析により個人の性格に対応した特徴をパラメータに取り入れることが可能であることを明らかにした。非侵襲的診断へのニューラルネットワーク応用は吉田氏の開発した計測機器と共に特許申請した。
著者
三島 雅史 田中 美栄子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.126, pp.19-23, 2006-06-16

人間に乱数生成を行わせると,体調や性格の違いによって特徴的な数列を生成することが知られており,これを人間乱数と呼んでいる.我々は人間乱数を利用して初期の認知症の自己診断に使えるようなプログラムの作成を試みており,そのために必要なデータの収集と解析方法の研究を行ってきた.本報告では健常者と精神障害者のデータの特徴を比較し,また健常者間の個人差を隣接二文字の生成偏差を利用してパターン認識する簡便な手法を提案する.また,異なる採取方法で取ったデータを比較し,結果が採取方法に大きく依存することを示すと共に,データをカオス時系列とみなして相関次元を求め,比較する.