著者
白浜 幸高 田中 利昭 藤本 英明 神田 勝利 東海林 麻里子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.G0433, 2007

【目的】<BR> 臨床実習において、レポート等の提出物における個人を推定できると考えられる項目の記載方法、並びに実習終了後の実習中収集した情報の取り扱いは重要な問題である。「個人情報の保護法」の施行以降、各施設間での対応は様々で養成校で書式を統一するのは困難である。<BR> 我々は第28回九州PT・OT合同学会において、追跡調査で実習終了後提出されたレジュメから「臨床実習における個人情報管理の動向」について発表を行った。今回、臨床実習指導者(以下SV)がチェックした「匿名化に関する確認事項」より、流出しやすいデジタル情報の実習中及び実習後の取り扱いなどを新たに加えて、個人情報に関する取り扱いの対応の動向を調べた。またそれに対する本校の取り組みも加えて報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 本校学生が平成18年5月~平成18年11月にSVから指導を受けた「匿名化に関する確認事項」の中から、この研究の趣旨の説明に対して同意のあった61施設を対象とした。<BR> その中で個人の特定に関する項目、(1)実習施設名、(2)患者氏名、(3)生年月日、(4)年齢、(5)現病歴、(6)家族構成、(7)家屋情報、(8)病名、(9)疾患部位画像(CT、X-p など)、(10)動画の記載方法、(11)実習終了後の学生パソコンの中のデータの取り扱い方法について項目毎に分類し、割合を検討した。<BR>【結果】<BR>(1)施設名記載許可92%、不許可8%、(2)患者氏名の記載方法イニシャル52%、姓のみのアルファベット25%、代替表示(症例1など)23%、(3)生年月日記載許可42%、不許可13%、簡略表示(年と月のみ)45%、(4)年齢記載許可64%、不許可1%、簡略表示(70歳後半など)35%、(5)現病歴記載許可79%、簡略表示(年と月のみ)21%、(6)家族構成記載許可80%、記載制限(キーパーソンのみ)20%、(7)家屋情報記載許可87%、記載制限(関連箇所のみ)13%、(8)病名記載許可98%、不許可2%、(9)疾患部位画像手書きによる写しのみ許可43%、デジタルカメラによる撮影画像許可57%、(10)動画撮影許可85%、不許可15%、(11)実習終了後のデータ保存についてテキストデータのみ保存可54%、動画データも保存可30%、保存全て不許可16%<BR>【考察及びまとめ】<BR>・各項目において、施設毎、また同施設でも実習時期における取り扱いには違いが見られた。<BR>・動画、画像などのデジタルデータは、多くの実習で活用されているが、保存の許可は30%であった。<BR>・本校で臨床実習初日に、SVに「匿名化に関する確認事項」として紙面上に記載してもらい、学生は厳守して実習に臨むよう指導を行っている。<BR>