著者
満田 隆 田中 晴哉
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.35, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

他者が視線を向けた対象の好意度は高くなることが知られている。しかし近年はこの効果を否定する研究報告もある。他者視線を挟むように二つの対象を左右に並べて提示し、二者択一で選好を行わせると大きな効果が観測されることから、他者視線は好意度とは関わりなく選択にバイアスを生じさせる可能性がある。そこで本研究では、二肢強制選択課題における他者視線の影響の大きさを、選好課題、選嫌課題、客観的課題で比較した。実験の結果、選好課題だけで、視線方向の画像がチャンスレベルよりも有意に高く選択された(p =.014)。また、参加者が初めに視線方向の画像を見た割合は3つの課題でほぼ等しかったが(選好; .71, 選嫌; .70, 客観; .69)、初めに見た画像を選択した割合は選好課題のみチャンスレベルより有意に高かった(M=.57, p =.03)。選嫌課題では負のバイアスが見られなかったことから、他者視線が画像の好意度に与える影響には課題依存性があると考えられる。