著者
田中 賢介
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.245-253, 1997-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16

シャンプーは基剤となるアニオン界面活性剤がグラム陰性菌に対する抗菌活性が弱いため, 微生物汚染を受けやすい製剤であり, 市販品の微生物汚染調査でもPseudomonasなどのグラム陰性菌が検出される例がある。リンスは基剤となるカチオン界面活性剤の抗菌活性が比較的強いため, 発育できる菌はより限定される。またボディソープは脂肪酸塩の抗菌性により一般に防腐性が高い。これらの製品は入浴時に使用するものであり, 使用環境からの二次汚染に留意する必要がある。製剤の防腐設計を行うためには, 製剤自身の持つ自己防腐性を考慮した上で, 必要に応じて最適な防腐剤を用いる。この際, それぞれの防腐剤の特性を充分把握し, 有効に配合する事が重要である。さらに, 製品の製造時における微生物汚染防止には生産面での衛生管理が不可欠である。原料対策, 製造衛生管理, 適切な製造設備設計など, 微生物汚染防止を前提とした考え方で対応する事により, 効果的な品質管理が可能になる。